はじめに

ユニット型施設が制度化され、20年が経とうとしています。

改めて、「ユニットケアとは何か」について、ユニット型施設に関わる皆さんにお伝えしたいと思います。

ユニットケアの原点は、「2015年の高齢者介護~高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて~」の中で、このように記されてます。

”1994年(平成6)年、ある特別養護老人ホームの施設長が、数十人の高齢者が集団で食事を摂る光景に疑問を抱き、少人数の入所者と共に買い物をし、一緒に食事を作り、食べるという試みを始めた。そして「一緒に過ごす、ごく普通の家庭の食卓にこそ意味がある」ということに気づき、「介護が必要な状態になっても、ごく普通の生活を営むこと」に、ユニットケアの原点がある。「ごく普通の生活」とは、一人一人の個性が生き、それぞれの生活リズムに沿って営まれる生活であり、かつ、社会の中に自分が位置づけられ、他の人との人間関係の中で営まれる生活である。こうした生活を施設の中で営めるようにするために必要なことは、施設全体で一律の日課を設けないこと、流れ作業のように業務分担して行う処遇(特に入浴に顕著である)を行わないことである。また、入居者同士の人間関係を把握し、自然な形で相互のコミュニケーションが図られるようにリビング(少人数の入居者が交流し、共同で日常生活を営むための場所。居宅の居間に相当する)での位置関係、会話の工夫等に留意することである。”

当センターでは、老人福祉法第17条の基本方針(第33条)「ユニット型特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」に基づき、高齢者が施設において、ごく普通に暮らすことができるようユニットケアの目的を「その人らしい暮らしの継続」としました。

ユニットケアは、多数の高齢者が暮らす高齢者福祉施設にあって、建物の特徴を活かしながら自宅のような空間において、高齢者が自分の行動を自ら決定できるよう職員は自律支援を行い、このような支援を行う中で、入居者との関係性を紡いでいくことです。

職員は、一人ひとりの入居者の心身の状況、生活習慣、個性等をよりよく知り、これまで暮らしてきたように、本人にとって居心地のいい場で、好きなように過ごす、そんな入居者に寄り添い、その人が自分らしく最期の時間を豊かに楽しく暮らせるよう支援を行います。入居者の想いにこたえようとする支援は、時には時間がかかり、失敗することもありますが、こうした支援を積み重ねることが、入居者や家族の信頼へとつながり「最期はあなたに、看取ってもらいたい。」と言っていただけるようになるのです。相手を想う気持ちこそが、ユニットケアの原動力だと考えます。

当センターでは、これまでに管理者研修修了者数が7千名をこえ、ユニットリーダー研修の修了者数は、5万5千人をこえました。(2003年度から2009年度までは、前身の認知症介護研究・研修東京センターユニットケア推進室の修了者を含む)ユニットケアの実践が、職員の誇りとやりがいにつながり、ひいては、それが高齢者の笑顔へと結びつくことは間違いありません。

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