建物や景観の工夫

近隣の景観に合わせた造り,幾重にも重なった屋根

いかにも施設然とした建物ではなく、周辺地域の景観にも沿い、家(集合住宅)らしい雰囲気を大切にする施設が増えてきました。
また、玄関は家と同じような造りにし、家族専用やユニットごとの玄関を別に設けたり、施設の案内板も住まいとしての工夫が見られるようになってきました。
さらには、建物だけではなく、窓から緑が見えるか、外の景色が見えるか、光がさしこむか、風を感じることができるか、などという視点も大事にしていきます。

普段と変わらない暮らし

浴室,脱衣室にある洗濯置き場

食事・入浴・洗濯・お茶の間など、暮らしの場を一つのくくり(ユニット)とし、使いやすいように工夫しています。くくりの単位は10人前後で、その人たちが暮らしの仲間となります。暮らしをサポートする職員も固定配置されていますので、名前は覚えられないとしても、「いつもの人」として顔なじみの人間関係が保てます。
朝食は、それぞれの起床時間に合わせて始まります。各ユニットで炊飯しますので、ご飯が炊けるにおいで目が覚めることもあると思います。キッチンは普通の家庭の台所と同じような設備で、入居者が使って自分の役割を発揮したり、家族が自由に使うこともできます。盛り付け、洗い物もそこで行います。台所仕事ができなくなってしまった人でも、水の音を聞くことや盛り付けをそばで見ることで、普段と変わらない暮らしを実感できるでしょう。
お風呂も一人ずつ、好みに合わせた入浴ができます。脱いだ衣類はそこで洗い、洗濯機の音や石鹸のにおいも味わえるでしょう。食事のあとは、気の合う仲間とのおしゃべりもでき、家庭で言えば「お茶の間」でのくつろぎも楽しめます。

自分の『居場所』を設ける

流し機能も備えた洗面台,居室のトイレ

自分だけが好き勝手に使える場、ほっとする場も必要です。自分の部屋(個室)には、今まで使っていた家具や、自分で用意した愛着ある品々を自由に持ち込めます。部屋には鍵があり、自由に管理できます。洗面台もありますので、洗面はもちろんのこと、ちょっとした洗い物もできます。また、自分専用のトイレのある部屋もあります。

他の利用者との交流

喫茶店の隅の売店,趣味のクラブ活動

同じユニットの、いつもの暮らしの仲間だけでなく、外の仲間との交流も大事にしています。 同じ趣味を楽しんだり、おしゃべりをしたり、一服しながら外を眺めるのも、気分転換になります。

地域を感じ地域で活動する

地域の人が立ち寄っておしゃべり,上等な酒が並んだ居酒屋、ボトルキープもある

たまには、通いなれた居酒屋や理髪店や美容院に行くことで、今までの暮らしや地域の仲間と交わることができます。
そして、たとえ重度化が進み、外に出ることがつらくなってきた時でも、施設の中で、地域の交流を感じることができます。街と同じような喫茶店が施設内にあれば、地域の方がぶらりと立ち寄ることもあり、その方々との交流も生まれます。

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