ユニットケアの見える化(1月)

★実地研修施設になるための勉強会・じっくり取り組みコース

「実地研修施設になるのは大変!」という声が多く聞かれていました。受験でも同様に勉強法でその成果に違いが出ます。そこで、

  • 施設運営で大事な事は何か
  • どんな書類をどう揃えればいいか
  • ユニットケアの基礎を再度確認する

そんな視点でこの勉強会は組み立てられて、2年経ちました。当初は、実地研修先になるための勉強会としていましたが、「これからユニット型施設を開設するから勉強にきた」「自施設の取り組みを見直し運営に役立てたい」という法人の参加も多く見受けられました。

実習先になるいかんにかかわらず、大事なことは「より良いユニット型施設の運営」ですから、

  • 現場責任者2人の3人1組

の申し込みを必須とし、「施設全体で施設の運営の見直しと改善の取り組みを行うことができ、ユニットケアの理解の統一を図ることが出来る」ことを研修のねらいとしました。

内容は、

  • 1年を通して、2日間の研修を3回開催
  • 毎回、課題提出をし、解決法を見出し、クリア
  • 他の情報を得ることで多くの方法を知る

さて、先週の16日に今年度の勉強会が修了しましたので、受講してくださった皆さんの感想をご紹介します。昨年の受講者で今年の新規実地研修施設に合格した施設です。

【社会福祉法人長岡京せいしん会 特別養護老人ホーム第二天神の杜

施設長 五十棲 恒治 氏、ユニットリーダー 稲津 亜紀 氏】

昨年度、施設長(自分)と介護課主任、フロアリーダー2名の合計4名で受講。実地研修施設になるための動機・目的は、「最新のユニットケアの状況把握」「ユニットリーダー研修実地研修者からの学び」「ユニットリーダー研修実地研修受入施設との交流・情報交換」「第二天神の杜の取り組み・実践をお伝えする」そして、ユニットケアの定着と普及に寄与するためです。

この勉強会では、各回で、事前準備を行い、学んだことを改善・向上につなげ、段階・手順を追って計画的に取り組めました。また、6日間を通じて、チェックポイント(取組事例)の丁寧な説明、傾向と対策等の解説、DVD放映、実践報告をしてもらうことで現状に打開策がみえてきました。

講義の最後に、自己評価し点数をつけることで客観的に自分の施設をみることができ、どう改善すべきかを帰りの新幹線で話し合い、施設内に設置したユニットケア推進委員会でさらに改善していきました。

今年度の受講者の声です。

【社会福祉法人桜会 グリーンハウス 施設長 阪本 健 氏】

平成23年1月にグリーンハウス施設長に着任。ユニットケアの施設であるにもかかわらず、従来型施設と変わらない一斉一律のケアを行っていました。経営の立て直しのために着任したのですが、それ以前に、職員都合のケアがなされていることに疑問を感じ、職員に「ユニットケアを何故やらないのか?」問いかけたところ、「そのような指示がなかったから。」との回答でした。それからは、近隣の実地研修施設、2ヶ所へ総勢20名の職員が見学に出掛け、また、ユニットリーダー研修に20名が受講し、「入居者のために良いケアをしたい。」という目標を一致させました。そのために、まずは、じっくり取り組みコースに参加することしたのです。

    ★受講して変化したこと
  • 1)今まで、見よう見まねで実践しようとしていたことが、研修を受講したことにより文化された。例えば、実習施設になるためチェックリストを用いて、出来ていること、出来ていないことが明確になり、もう少し工夫したり頑張れば出来るところ等の目標設定がしやすくなった。そのことにより何が足りないのか、何をすべきなのか職員の理解が深まった。
  • 2)再度、24Hシートの見直しをするにあたっての着目点が変わった。入居者の暮らしの継続は何かを更に深く考えるようになった。
  • 3)ユニットにもよるが、設えも見直し、自宅に近い設えを考えるようなった。
  • 4)他職種との連携が図れるようになってきた。
    ★受講して進化したこと
  • 1)法人の理念を全員で理解できるように再度見直し、平成25年までの取ってつけた体裁だけの理念では無く、理解しやすい理念に作り直した。その事によって、職員は理念を唱和することが出来るようになり、理念の意味も理解できるようになった。
  • 2)24Hシートに連動したケース記録が書けるようになってきた。
  • 3)各マニュアルの作成が出来たことにより統一したケアが出来るようになってきた。
  • 4)各ユニットでの炊飯が実践できるようになった。

【社会福祉法人正和会 特別養護老人ホームまきの苑 施設長 藤井 道子 氏】

Q.勉強会に参加するきっかけは何だったのでしょうか?

過去に、ユニットリーダー研修に数名のユニットリーダーが受講しているものの、なかなか変わっていかず、「これではいけない。」と考え、今年度、この勉強会に参加することとしました。

Q.勉強会に参加して、この一年で大きく変わったことは何ですか?
    0)大きく3点あります。
  • 1)通常のアセスメント様式から、24Hシートの聞き取り項目にそって本人の意向や自分で出来ることを伺うことにしたところ、今まで以上に、本人の自己実現に向けた取り組みを行うことができるようになりました。
  • 2)24Hシートの必要性を理解し、入居者全員分のシートを作成することができました。さらに、使用していたソフトに24Hシートを導入することで、すぐにシートを画面でみることができるようになりました。そして、ケアプランと連動することできるようになりました。
  • 3)フロア単位で職員を配置していましたが、小さな単位にすることの意味を理解することが出来、ユニット単位で職員を固定配置することにしました。そうすることで、ユニットリーダーの役割が明確になり、意識が変わりました。
Q.勉強会の効果は?

管理者と現場責任者とが参加することで、同時にユニットケアで求められている視点をもつことができ、方向性が明確になりました。どこまで到達したらいいか、ということを以前からある「ユニットケア推進委員会」で議論することができるようになり、内容が充実してきました。いずれ、実地研修施設を目指したいと思います。

【社会福祉法人永寿会 特別養護老人ホーム扇の森WEST 施設長 杉浦 佑介 氏】

私どもは、法人理念“For The Community ~地域の皆さまのために私たちができること”のもと、入居者様の“暮らしの継続”、“一日の暮らし”の実践を考え事業を運営してまいりました。しかしながら、実際、頭では理解はでき熱い想いもあるのになかなか形にならず日々もどかしさを感じておりました。そんな中、先駆的にユニットケアに取り組まれているユニットリーダー研修実地研修施設を手本にすることにより、それらの課題は解決するのでは・・・と考え、ユニットリーダー施設を目指すことにいたしました。

しかしながら、実際はどうしたら良いのか分からず、壁にあたっていた時に、本研修の存在を知り、申し込みをさせて頂いたのです。

    ★本研修を受講し良かった点
  • 1)管理者と現場責任者が一緒に共通認識のもと学びを深めることができること
  • 2)ユニットケアについて根拠を持って学べ理解を深めることができること
  • 3)実践の手法を具体的に学べること

特に自施設の現在の課題である“24Hシート”については、本来の持つべき視点・強化すべき視点が入居者様の“意向・好み”の部分の充実であること。表現は専門用語を一切排除し、誰が読んでも共通の認識がもてるように作成すること。24Hシート内の細かい部分、要望・変化もひろい記録することができるように介護ソフトの改善要望をまとめること。など、多くの気づきととるべき行動を具体化することができました。また、細かな疑問や質問にも日本ユニットケア推進センターの講師の皆さまが近くで懇切丁寧かつ具体的に一つ一つ分かりやすく答えてくださり、安心して前に進むことができました。根拠を持ったユニットケアの実践、自施設の現在の立ち位置、課題解決方法、自信を持った施設運営の一役を担ってくれる研修でした。ユニットリーダー実地研修施設を目指される方にも、自施設のユニットケアの充実を図られている方にも 本当におススメできる研修です。本研修を受講し本当に良かったです。誠にありがとうございました。

2月より、平成27年度【新規ユニットリーダー研修実地研修施設】の募集を開始します。募集は、各都道府県、政令指定都市を通じ行い、申請の際には、推薦をいただいています。

27年度も引き続き「じっくり取り組みコース」を開催いたします。近日中に詳細をHPに掲載します。

感染症対策  ~いつまでもお元気でその方らしい暮らしを続けていただきたい~

【社会福祉法人こまくさ福祉会 特別養護老人ホーム 白駒の森 施設長 澤田キヌ子 氏

厳寒の冬が今年もやってきました。今朝も-10℃。入居者の平均年齢90歳、新聞の“悲しいお知らせ”を見ながら、世間はノロウイルス、インフルエンザ等の感染症予防に悩んでいると聞きながら、「今年も感染症が1件も発生しませんように! この冬を乗り越えてください」と祈りながら入居者の笑顔に癒される毎日です。

職員が下痢・嘔吐・発熱など、職員の家族が、学級閉鎖等の話を聞きながら、当施設の入居者はなぜ発症しないのかを考えてみました。(9年間で感染症は1件も発生しておりません)

1.環境要因、作業環境として
  • 1)個室、ユニット型なのでご面会の方も居室に訪問。
  • 2)ユニット型なので職員が固定配置・チームワークができているので、体調不良時も交替や休みが容易にできる。
  • 3)排泄支援後は汚物はみょうばん水で消臭、抗菌。
  • 4)開設以来、面会制限はしていない。但し玄関に「発熱・嘔吐・下痢等の症状がある方はご遠慮下さい」としている。事情の申し出がある時はパブリックスペースで面会していただく。
2.基本的なケア方針として・・・快食・快便・快眠
  • 1)入居者には高齢なので必要最低限の薬の処方。
  • 2)腸の活性化を期待し、お好みの食品等を提供。
  • 3)腸の働きが元気になるように下剤・浣腸・摘便はしない、使わない。
  • 4)おいしく食べて元気で暮らしていただくために、自律神経のバランスを整える。
  • 5)寝かせきりにしない。
  • 6)穏やかな関わりは副交感神経を活発にして腸の健康を保つ。
3.スッキリ排泄できる関わりを究める(副交感神経と整腸、ビフィズス菌を増やす)
    0)具体的にはその方の好みに合わせる。例えば
  • 1)目覚める時間を把握(副交感神経が優位な時間)、夏は4:30~5:30トイレにお誘い、もう一度寝ていただく。冬は6:00~7:00静かに居室に訪問、目覚めていたらトイレにお誘いする(癒される声かけで交換神経を刺激しない)目覚めていなければ起こさない。
  • 2)朝食前に好みに合わせ温牛乳100~150ml+オリゴ糖10g(マドラーで丁寧にかき混ぜる)飲んでいるうちに朝食が準備される。朝食後30分トイレにお誘いする。ほとんど排便がある。
  • 3)好みに合わせ朝食は毎日又は1日おきに納豆ご飯をたべる。
  • 4)3日4日5日と排便のないときは好みに合わせ不溶性食品“きのこの佃煮”“きのこ汁”“きのこの酢の物““きんぴらごぼう”“ごぼうの天ぷら“さつまいも”などがとても効果的です。(きのこ、ふき、たけのこなど地域性もあり、みなさん喜んでくださるのですぐ使えるようにしておく)
4.腸内環境を整える試みの実践
  • 1)ヨーグルトにオリゴ糖10g(好みにより)をマドラーで丁寧にかき混ぜてデザートとしてコーヒーセットでおだしする(時には好みのジャムを少量加えて味を変えるなど)。
    ※今ウイルス感染防御で話題のプラズマ乳酸菌にもオリゴ糖が使われている。
  • 2)好みに合わせてヤクルト400をお茶の時間に飲む。
  • 3)ヨーグルトは同じ菌で食後(食前は胃酸を壊す)のデザートにする。
5.朝食を美味しく食べる、薬の工夫
  • 1)逆流性食道炎の症状のある方は胃腸薬としてマグラックス、マグミット等の制酸剤 を朝食前に服用。
6.療養環境を整える
  • 1)温度差の激しい9月に体力低下を防ぎ体調を整える。夜勤者がいつでも使えるようにベッド足元に毛布又は布団を置くなど。入浴後のスキンケアと体力低下を防ぐ目的で10~20分臥床後にお茶等で水分補給。
  • 2)昼間は楽しいと感じて趣味活動を勧めて快適に過ごし、ぐっすり眠っていただいております。

感染症予防は他施設と特別変わることがない(特別なものは使っていない)。腸が元気でいるので(腸に抵抗力があって)感染しても発症しないだけかとも考えております。腸の活性化を期待しながら、“褥瘡と感染症は発生させない!”を目標に10年目も頑張ります。

最後に私たちが、根拠とした参考文章をご紹介します。

★腸内細菌を育むケア
  • 腸内環境が整い、腸が鍛えられると、病気にならない
  • 善玉菌にあたるのが乳酸菌の一種であるビフィズス菌
  • 毎日の食事などを通して腸内のビフィズス菌をいかに増やし、活性化させるかがポイントになる
  • 善玉菌の乳酸菌は、腸内で栄養素の消化・吸収を助けるほか、ビタミンを合成したり、外部から侵入した病原菌の増殖を防いだり、免疫細胞の働きを刺激したりする
  • 腸内フローラの安定  腸内環境のバランス
  • 和食中心の献立が、善玉菌を活性化させる
  • オリゴ糖は、ゴボウ、タマネギ、アスパラガス、大豆などに含まれている
  • オリゴ糖は、腸内細菌のエサになってくれる
  • 腸とメンタルの関係 セロトニンの95%は腸で分泌されている
  • 腸が蠕動する→セロトニンが分泌する→心が落ち着き安定する
    (心がとても穏やかな状態)
  • セロトニンとは、心の働きをコントロールする
    腸がしっかりと蠕動運動しているということは、消化・吸収・排泄がスムーズで、セロトニンがしっかりと分泌され、腸の働きが極めて安定していることを意味します

「受講者の受け入れを終えて」 ~座学と実習のつながり~

社会福祉法人 翔陽会 特別養護老人ホーム 清明庵 運営部課長 武田めぐみ 氏

「ユニットリーダー研修の講義を受けて“いいな・やりたいな”と思ったが、自分の施設に戻った時に何から手を付けたらよいかイメージできない」という話を受講者からよく聞きます。

そのような受講受講者を受け入れる実地研修先としては、まずは、入居者の暮らしを見ていただき、感じ、考える時間を大事にしています。

実地研修先で学んだ具体的な入居者の暮らし方を、「なぜそれが必要か」を説明できるように、具体的に伝える方法と自分の言葉で伝えられるように、研修の最終で作成する「ユニットケア運営導入計画書」の完成のサポートに力を入れています。

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