「私が思うこと」(特別養護老人ホーム一重の里 伊藤真由美)
2019年9月2日 更新
医療の現場から福祉の現場に飛び込んで20年。入職当初は看護と介護の考え方の違いが大きく「ここは病院じゃない」と何度言われたことでしょう。戸惑いが多かったことを覚えています。
先日、日本赤十字看護大学名誉教授で看護学者の川嶋みどり先生の講演「看護の過去、現在から未来」を聴く機会がありました。米寿を迎えられた川嶋先生が、「利用者の暮らしの尊厳を守り、安楽であることが大切、その看護を実践できる場所が今は施設になっているのかもしれない」「施設でこそ看護ができる。今こそ看護の実践施設で」と力強くおっしゃっていました。
現在の介護施設では医療依存度の高い方の支援や看取りの介護が当たり前になっています。かゆいところに手の届くユニットケアは個別ケアを実践するためのツールであり、ちょっとした気づきと気遣いこそが、心地よい、穏やかな生活を、そしてその先は自然な笑顔になると実感しています。そんな介護をできるユニットケアは素晴らしいし、介護・福祉の原点なのだと思います。
介護・福祉の専門職である私たちが、そこでお暮しの方に、普通のことが普通に、何気ない日常を気兼ねせずに支援を受け取ることができるような、そしてその中で職員が人生を学んでいける施設運営をしていきたいと思います。