暮らしの中での看護師の役割(介護老人福祉施設よなご幸朋苑 青木 歩美)
2020年9月1日 更新
介護老人福祉施設における看護師の役割は、ご利用者の健康管理や生活支援、日常生活の延長線上にある人生の終末期を支える看取りが中心となります。
入居者の多くは、複数の慢性的疾病を抱えつつ生活をしておられます。私たちが大切にするケア理念には、PCC(パーソン・センタード・ケア)その人を中心にしたケアのもと、いかなる状態であっても、個々人の「尊厳」を大切にすることを最も重視しています。その上で、個別ケアとして、自律への支援を行い、その人らしい生活が送れるように、専門職がそれぞれの専門性を理解し尊重し合い、チームで生活を支援しています。
具体的には、「食事・排泄・起きる・清潔・アクティビティ」を5つの基本ケアとし、それぞれの専門的視点から根拠あるケアの提供、実践、評価をしていくことで、ケアの質も良くなり、病気が発生しにくく、入院も減り、穏やかな暮らしが提供できると考えています。何かが起こってから対応する、といった「後追い看護」ではなく、「予防的介入」に力を入れています。介護士や家族から寄せられる身体に関する質問に対して、単にそれを医師に伝え答えてもらうメッセンジャーとしての看護師だけではなく、的確な予測と判断をして介護士を支えることのできる力量が、介護施設を「暮らしの場」にしていくと考えます。
高齢社会に突入し、施設における看護師の役割がいっそう重要視されてきています。法人の理念・基本方針に基づき、利用者一人ひとりの意向・生活習慣・価値観を尊重し、根拠に基づく安全で質の高い看護を目指し、やりがいを支援しながら、多職種連携・協働でチームケアを図っていきたいと考えています。