ユニットケアは気持ちよく仕事ができる(特別養護老人ホームみなみ風 石井 政裕)
2021年8月2日 更新
私は介護職をして10年以上になるのですが、最初の介護のイメージは決まった時間に決まったことをしていくといったものでした。しかし、実際にやってみると入居者の気持ちが伝わり、こちらの都合でどうこうしようとすると自分自身が嫌な気持ちになっていきました。
様々な人の教えもありユニットケアを少しずつ理解していくことでその人が起きたい、お茶を飲みたい、部屋で過ごしたといった気持ちに合わせた支援が出来るようになっていきました。そうすると自分自身の気持ちも晴れてきて「いいもんだなあ」とやる気が出てくるのを感じました。
10名前後の入居者と固定した職員が同じユニットで過ごすわけですから、内面的な部分を理解しやすく何をしたいか、何をしたくないのかが少しの表情や仕草で感じ取れる関係を築けると思います。そうした中でその人が望む生活が見えてきて自分たちに出来ることも分かってきます。その人が望んでいることが分かり、その支援ができると入居者も職員も自然と和やかになり、過ごしやすい空間ができてきます。
「この人はこうしたいんだよなあ」「この人はこれが好きなんだよなあ」と思いながら支援をすると気分が良いもので、ユニットケアは、職員をそういった気持ちにさせてくれるものだと感じています。
介護の仕事20年目の心境(特別養護老人ホーム美里ヒルズ 中島 充啓)
2021年8月2日 更新
あなたがたった今から暮らさなければいけなくなったなら、いかにも施設らしい施設と、生活感がある落ちついた住まいのどちらなら良いと思いますか?
美里ヒルズに来てユニットケアを学んでいた2年目に、ショートステイユニットに配属されました。それぞれのご利用者がゆったりとすごせる環境を作ろうと、悩みながらも色々な取り組みを進めていた時、ご利用者とリビングで一緒に昼食をとっていると、周りのテーブルの方達と何度も視線がからみ居心地の悪さを感じました。その瞬間、リビングの機能性重視の設えが、ご利用者にとっては違和感しか生んでなかったんだと気付かされました。早速翌日から、とにかくまず自分自身が過ごしたくなるユニットに変えて行こうと、個々の空間を分けられるよう家具のレイアウトを一気に変え、他にもキッチンや玄関、トイレなどあらゆる設えを、古民家カフェ等を参考に遊び心も加えた生活感のあるものに変えて行きました。
今ではご利用者それぞれが周りを気にせず語らいを楽しまれたり、コーヒーを飲みながら本を読まれたりとほのぼのとした団欒の風景がみられるようになっています。難しく考えすぎず「私が使いたいサービス、暮らしたい施設」に変えて行く。それだけでご利用者の生活が大きく変わりました。まだまだご利用者や職員と共にやりたいことが沢山あって、約20年目にして初めて介護って可能性に溢れていて本当に面白いって心から感じています。
その人らしい暮らしとは(特別養護老人ホームちょうふ花園 山口 祐憂)
2021年7月1日 更新
「その人らしい暮らし」とは何か、日々考えます。
ある入居者様のお話です。ご自宅で畳やカーペット等に座り床で生活されていました。入居後、居室の中では靴を履かないことが多く、声掛けをしています。あるとき「無理に居室で靴を履かなくてもよい生活は出来ないか」とユニット内で話し合い、居室の設えを変更することになりました。ご家族様の協力を頂き、床にカーペットを敷き、低いテーブルと椅子を用意しました。初めは設えが変わることでの戸惑いはありましたが、すぐに慣れたご様子で今では椅子に座って漫画を読む生活が定着しています。表情や一日の暮らしぶりを見ていると、本当にご自宅で生活されているようにリラックスした様子で、「その人らしい暮らし」が見えた気がしました。
今後も「その人らしい暮らし」を実現できるよう、生活歴や意向、ご家族様からのお話し等、様々な角度から考えていきたいと思いました。