居室の考え方として大事にしたいのは、“入居者本人の部屋になっていること”です。 したがって、居室への持ち込みは自由とします。 しかし、一般的に高齢者施設の居室のイメージといえば、“自分の部屋”というよりも、“治療の場=病院”と思われることが多いのではないでしょうか。そのため、実際に、施設に入居される方やその家族に、「家具の持ち込みは自由です。」「施設に入居しても、自宅での暮らしを継続できるようにします。」と、お話ししても、具体的なイメージに繋がるものではなく、結局は何を持ち込めばいいのかわからないまま入居を迎える…… という結果に繋がっているのかもしれません。
では、どのようにしたらいいのでしょうか。
いくつかの方法をご紹介します。
① 入居申込時には、必ず施設の理念やケア方針を伝える。
高齢者施設とは、どのような場所なのか、そして、自分の施設の理念やケア方針はどのようなものなのか、日常の具体的なケアに置き換えて説明をします。
その中で、暮らしの環境を整えることが、これからの生活にどのような効果をもたらすのかわかりやすい言葉で伝えることで、家具を持ち込むことの意味や目的に繋がります。
② ユニットでの暮らしの様子や、他の入居者の居室を見ていただく。
入居申込時や、入居前には、必ずユニットの中や建物全体の様子を見ていただくことをおすすめします。
“他の入居者がどのような暮らしを送っているのか”、直接見ていただくことで、具体的なイメージに繋がります。
③ 事前面談時にご自宅に伺い、具体的にどのような家具を持ってきたらいいのかお話しする。
事前面談は、ご自宅に伺うことをおすすめします。施設に入居した後、本人や家族が、どのような暮らしを望むのかを伺い、そのために必要な環境設定のあり方について一緒に考え、持ち込む家具を一緒に決めていくことでより具体的なイメージに繋がります。
この際、“他の入居者がどのような暮らしを送っているのか”、写真に写したもの等、目で見てわかる情報提供をすることで、より具体的なイメージに繋げることができます。