就職先としての介護施設

一口で「介護施設」と言っても、その施設の種類はさまざまあります。また、働いている職員もいろんな職種の人が入り混じって働いています。介護施設とはどのような職場で、どのような人々が働いているのか。まずはそうしたことを理解したうえで、就職先としての介護施設を考えていきましょう。  ここでいう介護施設とは、高齢者が24時間365日体制で入居する施設を指します。介護施設として最も代表的な特別養護老人ホームをはじめ、介護老人保健施設、介護療養型施設、有料老人ホームなどさまざまありますが、基本的には、「24時間営業」の職場です。昼間の勤務以外に、早朝、夜勤帯など職員がローテーションを組んで勤務することによって、高齢者の24時間の暮らしを支えています。

就職先としてのユニット型施設

ユニットケアとは、入居者一人ひとりの個性や生活のリズムに合わせたケアの手法ですので、原則として、あらゆる介護の現場で導入することが可能です。ただし、ユニットケアを導入することが、ハード(建物・設備等)やソフト(ケアサービス)の面できちんと制度化されているのは、今のところ、特別養護老人ホームと介護老人保健施設、単独短期入所生活介護事業所等(この中で、制度上の条件を満たし、ユニットケアを行っている施設をユニット型施設と呼びます。)ですので、それらを就職先として考えた場合の実態をみてみましょう。
まず、ユニット型施設にはどのような人が働いているのでしょう。
施設長、事務長、事務職員、相談員、ケアマネージャー、介護職員、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、栄養士、調理員など、多様な職種の人々が働いています。仕事の内容もさまざまですし、日々それぞれの分野の専門家として、入居者の暮らしの支援のために協力しながら働いています。
介護職員の1日は、早番の場合であれば、朝の7時頃から夕方4時頃までの勤務です。入居者の起床を支援して、起きてきた方から朝食をとってもらい、その後は、入居者に合わせてテレビを見て過ごしたり、入居者と一緒に昼食の準備をしたり、掃除をしたりするなかで、一人ひとりの入居者と向き合って過ごしています。のんびりと過ごしながらも、常に入居者の日々の状態に気を配り、必要な時に、必要な分だけさりげなく支援をする日々を大事にします。

ユニット型施設にもいろいろ

ユニット型施設と言っても、その具体的な運営方法は施設によってさまざまです。家庭的な雰囲気の中で、入居者も職員も穏やかに過ごしているところもあれば、建物や設備はユニット型であっても、その中身は画一的なケアを行っているところもないわけではありません。
これからユニット型施設に就職を希望する方々には、ぜひ質の高いユニットケアを目指し、取り組んでいる施設に出会っていただきたいと思います。
では、どうすればそのような介護施設を見つけられるのでしょうか。例えば、施設のホームページを見る、老人ホームを紹介している書籍・雑誌を読む、実際に施設で働いている人の話を聞く、インターネットで施設の評判を調べるなど、情報収集する方法はたくさんあります。
しかし、ユニット型施設への就職を決めるには、その施設が自分に合った施設なのかどうかを自分自身で判断しなければいけません。他人や評判任せで判断するのではなく、実際に介護施設に行って、施設の方々に話を聞いてみることをおすすめします。

施設を見学するときのチェックポイント

それでは、実際に施設を訪問して、見学する際のチェックポイントをいくつか紹介します。
1つ目は、施設職員の電話の対応です。施設見学を依頼する際、電話をかけた時の施設側の対応の仕方は、ケアの質のバロメーターの1つでもあります。突然の「施設を見学させて欲しいのですが」という依頼に、横柄に対応したり、無下に断ったりするような施設は、理由にもよりますが、注意を要するかもしれません。

2つ目は、施設の中の雰囲気です。言葉で表現しにくいものですが、シーンと静まり返っているのか、談笑が絶えず穏やかなのか、くらいの違いは30分も施設の中にいるとわかってきます。入居者や職員の会話も要チェックです。入居者と職員の会話がほとんどない、職員のおしゃべりが多い、あるいはとてもそっけない施設はおすすめできません。
3つ目は、入居者やその家族の様子です。入居者が穏やかに過ごしている施設には、その家族も自然と集まってくるものです。入居者の表情や所作を注意して見ておきましょう。
4つ目は、施設の職員の様子です。忙しそうに動き回り、身なりも乱れ、表情にゆとりがない職員が多い。これでは、自分を育ててくれるような職員教育の体制があるとは言い切れません。職員がどのような様子、表情で働いているのかも、自分が介護のプロとして働き続ける施設を選ぶ大切なポイントです。

最後に、施設と地域の交流も大切なチェックポイントです。地域の行事に積極的に参加したり、施設内の行事に地域住民が参加したり、地域住民との関わりを持っている施設は、隠しごとのない「開かれた施設」であり、施設運営に対して、「いつでも見に来てください」と自信をもっている証です。
このような施設は、地域の一員として認められた、地域に必要とされる施設なのです。

これまで述べた内容は、あくまで施設を見るときの参考にするものですが、これらを踏まえ、さらに自分自身や家族など、自分の大切な人がもし介護が必要になった時、この施設にだったら入居させたいと思えるかどうかということも考えながら施設を見てみるとよいでしょう。そうすると、「暮らしの場」としてのユニット型施設への理解が深まり、また自分が働いていける施設かどうかの判断材料にもなるのではないでしょうか。

介護施設への就職を考えている皆さんが、「ここで働きたい!」と思えるようなすてきな施設と出会えることを願っています。

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