常日頃ユニットケア実践のために一生懸命取り組んでいるみなさんの疑問・質問を一緒に考えていく場所として開設致しました。 今よりもっと、これからももっと高齢者福祉施設が、入居者にとって暮らしを豊かにする場所となるために!そして、働くみなさんにとって誇りある仕事であり、誇りある職場になるために、みんなで一緒に考えていきましょう!

ユニット型施設における職員配置について考えていきます!

ユニットケアの特徴は、入居者10人程度のユニットに職員を固定配置することだと聞きましたが、どうしてでしょうか?

ユニット型施設が目指すケアについて確認しましょう。

「ユニット型」特別養護老人ホームは、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うこと、すなわち生活単位と介護単位とを一致させたケアであるユニットケアを行うことに特徴があります。さらに、老人福祉法第33条の基本方針で示されている「入居前の居宅における生活と入居後の生活が連続したものとなる・・・」と表されるように、目指すところは「その人らしい暮らしの継続」です。
その人がこれまで営んできた暮らしを念頭に、かけがえのない存在として大切にし、その人らしく生きていくことを支援すること、そのような中で、その人との信頼関係を築いていくことがユニットケアといえます。

情報を把握できる単位を考えましょう。

では、皆さんは、職員一人が、入居者一人の1日をどのように過ごしているのかという情報をどれくらい(何人分)覚えられますか?

ここで言う情報とは、例えば、「Aさんは、朝は○時頃に目が覚めて、その後、ベッドに30分位はごろごろしている。その後職員が支援し、体を起こし、トイレに行く。トイレでは、自分で立ち上がり、座ることができて・・・」などという24時間軸での暮らしに関する情報です。これだけ細かな情報のため、せいぜい1ユニット分(10人程度)が頑張れる範囲ではないでしょうか。
一人ひとりに合わせた支援をするためには、詳細な情報をより多く知り得ていることや、日頃の気づきがポイントになります。それができる体制が、「生活単位と介護単位を一致する」、いわゆるユニット毎の職員の固定配置になるわけです。

ユニットに職員を固定配置することの最大のメリットを考えましょう。

入居者の暮らしには、毎日いろいろ変化があります。その中でも、これから重度化した方や認知症の方が多くなる中、いかにして「いつもと様子が違う」と些細な変化に気付くことができるのか、暮らしを支援していく介護の専門職として、とても重要な役目となります。職員をユニット毎に固定配置し、「いつもの職員」としての存在となれば、そうした些細な変化に気づくことも出来やすくなります。

でも、ユニット毎に固定配置することでの不安もいくつか・・・・

さて、職員をユニット毎に固定配置した場合、皆さんの中には、次のような心配や疑問が浮かびあがるのではないでしょうか?ここで主なものをあげてみます。

1.誰かが急に休んだらどうするの?

固定配置だからといって、他のユニットに行けないというわけではありません。夜間に加わる隣のユニットの職員が急遽休んだりして、困ることがあるでしょう。そのような時はお手伝いをすることは必要です。

対応方法の例
・ユニットの職員のシフトを変更する
・ユニット担当職員以外のフロアリーダー等の中間管理職等が代わりに入る
・ユニットの職員が残業で対応する

など

2.夜勤はどうするの?

国の基準としては、2ユニットに1名の夜勤者を配置することになっています。そうした場合、配置されたユニットではないもう一方のユニットの情報が分からず、支援ができないのでは?と思う方もいるのではないでしょうか。確かにその通りです。では、このような基準に従い夜勤をするためにはどのようにしたらよいのか・・・・です。答えは3つです。

  • 夜勤の時間を短くする(8時間夜勤)
  • 他のユニットの情報量が少なくて済む時間帯を夜勤時間にする(入居者が寝ている時間)
  • 夜勤に入る時間帯の支援が目で見てわかるように情報を整理する(24時間暮らしの支援シート(24シート)の作成)

この8時間夜勤という働き方は、多くの入居者が眠っている時間帯の支援を目的としますので、可能な限り、「夕食・就寝・起床・朝食」の時間を外した時間帯の設定とします。ただし、8時間夜勤を実施するには、「夜勤は月4回まで、法定休日を取得すること」など守るべき約束事等がありますので、その理論を理解し、地域の実情に合わせて対応することをおススメします。

3.職員の異動はさせてはいけないの?

介護職としての専門性を高めていくためには、いろいろな経験を積む必要があります。異動はどんな組織でも人材を育成するために、必要不可欠なものです。ただし、その方法には「なじみの関係」をこわさない配慮が求められます。ユニット内の職員は、年1回1名の交代、ユニット間の移動は、施設全体で行わず、半年くらいの期間の中で段階的に実施するなど、いろいろな方法がありますので、入居者の暮らしの継続を1番に考えた中で、各施設で検討されると良いと思います。ユニットリーダーの異動も同様といえます。

さて、いかがでしたでしょうか。みなさんの施設では入居者の暮らしの単位(ユニット)と、その暮らしをサポートする職員の配置をどのように考えているでしょう。

入居者一人ひとりの暮らしを支援するためには、介護技術の習得やその人への思いを大事にしながら、きちんとしたユニットケアの目的をぶれずに持ち続けること、それを実現させるための仕組みを作ること、この2つがユニットケア実現に必要な大きなポイントとなるでしょう。

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