「指導者養成研修」と「後期ユニットケア研修に向けて」(10月)
★平成26年度 ユニットリーダー研修を担うユニットケア研修指導者の養成、
「指導者は、ユニットケアについて話すのではなく、語れる人である。」から始まる。
ユニットケア研修指導者の養成は、平成18年度から始まり、昨年度までに146人が修了しました。今年度は、実地研修施設55か所のうち、青森から福岡まで、16か所(16名)の方の参加がありました。ユニットリーダー、生活相談員、作業療法士、看護師、様々な職種の方が集まりました。
一昨年に国としての補助事業が終了し、当センターは、独自事業として継続しています。
【ユニットア研修指導者養成研修とは】
ユニットリーダー研修において実践的に指導できる者及び地域において適切かつ効果的なユニットケアの推進を担える者を育成し、全国のユニットケア施設に勤務する介護職員が、「入居者1人1人の意思及び人格を尊重し、入居前の生活と入居後の生活が連続したものとなるよう配慮しながら、入居者が自律的な日常生活を営むことを支援する」ことを目的としている研修です。
受講資格は、福祉系の有資格者で実地研修先の職員であること。
【カリキュラム】
★初期研修
【受講者の感想】
今回、講義を受けて、〝根拠〟というところを不明確にしたまま関わっていたことが良く分かった。研修を終えて、自施設の中をぐるりと1周してみると、ただ形だけで、その人らしく暮らせる仕掛け、自立支援や入居者の視点で考えるところが不十分であることが明確となった、同時に、そのことについて根拠をもって職員に話せるようになった自分自身の自信にもつながった。
【初期研修とはどのような研修か?】
5日間、「根拠は何か?」「その理論を説明せよ!」「具体的に取り組みには?」「○○のときどうするか?」矢継ぎ早の質問に、全受講者がひとり一人、マグボートに回答を書き、評価される、という、徹底抗戦の研修です。これができないと「語ること」はできません。自分も課題を乗り越えた同じ経験をしている者だからこそ、受講者に生の声で語れる、そのことを学びます。
★実地研修
【受講者の感想】
今回、センター長の進め方を受けて、まずは、中身を整理し、理解した上で完全に頭に入れるところまで目指そうと思います。
「〝上手くやろうとする〟のではなく、いかに受講者が〝現場を変えたい〟と思えるように、熱い想いを伝えられるかだ。」という言葉が心に響きました。大切なのは、きれいな形でコーディネーターをするのではなく、現状として出来ていないことを気づかせ、施設に戻ったら、取り入れて変えていこうと思わせることだと確信できました。
【見学研修とはどのような研修か?】
実際のリーダー研修で、指導者の役割を具体的に学ぶ場です。2人がビデオ撮影、全員がボイスレコーダーでの録音。一言も漏らさないぞ、といった現場見学実習です。その後、テープ起こし、研修の流れを把握し、各セッションのポイント整理、自分の原稿作成、原稿の反復練習、イメージトレーニング、自分の言葉にしてきます。
その後、10月下旬から2月にかけ、ひとり一人がリーダー研修で指導者になり、本番を迎えます。その間、自施設で練習し、また、ブロックの先輩に指導を受け臨みます。
「初めてです!」なんて言ってはダメ!そんなことは受講者には関係ないのだから・・・。この言葉を肝に銘じながら、今、指導者候補生は、励んでいます。
★新たな実地研修施設3施設が各地地域の先駆者をめざす
後期ユニットリーダー研修の実地研修先に下記3施設が加わります。よって、盛岡・京都・長野と新たな研修会場を設け、研修生の利便性を図りました。
社会福祉法人堤福祉会 特別養護老人ホームらふたぁヒルズ
施設長 松村 とく子
今年で10年目に入りました。そこで暮らす方々、そしてそこで働く私達が居心地の良い施設を目指してきた10年間でした。前進あり勿論後退あり、そしてまだまだ勉強不足でありますが、職員一丸となって取り組んだ成果が実地研修受入施設の合格ラインでした。センターの職員の皆様をはじめ沢山の施設の方々から勉強をする機会を頂戴したことに感謝いたします。根拠を語り伝えそして理解し、今後も足踏みしながらでも進んで行きたいと思います。これからもご指導宜しくお願い致します。
社会福祉法人 カトリック京都司教区カリタス会
高齢者総合福祉施設 神の園 施設長 齋藤 裕三
私どもは平成22年より足掛け4年かけて施設運営やケアの改革取り組み、後期より実地研修施設として活動することになります。これもたくさんの方のご支援、ご協力、アドバイスのおかげと心より感謝しております。まだまだ課題も多いのですが、新たに勉強させていただく機会を与えられたことに感謝し、これからも入居者とそのご家族に満足してもらえるような施設づくりを目指して職員一同努力して参りたいと思います。今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
医療法人社団あと会 介護老人保健施設 ふかわ・くにくさ
副施設長 平田 あさみ
推進センターさんをはじめ、ご指導いただいた先生、見学先の指導者の方に快くアドバイスをいただいて、今日この場に立たせていただくことができました。当初は、ユニットケアに対する理解ができていなかったために右往左往していましたが、いろいろなご指導をいただいたおかげで、暮らしの場ということに目が向くようになり、職員の意識が改革されてきました。職員の顔つきが変わり、入居者さんとその家族の笑顔が増えたと実感しています。ここがスタートライン、まだまだできていないところもありますが、これからも頑張って参りたいと思います。
★ユニットケア研修に携わる受講者と実地研修施設の施設長の声をお届けします
≪第5回 ユニットケア施設管理者研修≫
- 本を読んだり、人から聞いただけのユニットケアだったことを思い知らされた。ユニットケアを知るのではなく、入居者の暮らしをその人らしいものにするのが大事である。テクニックだけを学ぼうとしていた自分が恥ずかしいです。
- 法人からの命で来ました。自分でよいかという不安を抱えながら、地に足がつかないような気持ちで3日間を過ごしました。今、何かやってみようと思います。ここへ来なければ、ずっと悩んでいたと思います。
≪第22回 福岡会場 ユニットリーダー研修≫
- 時代背景とともに施設ケア、入居者主体への変化を理解することが出来たと思う。入所と入居の違いや自立と自律の違いを聞くとケアの視点や暮らしのサポートの必要性を改めて考えることができた。認知症の方への対応の仕方がまだまだ職員目線であり、個々の対応ではなかったのではないか、と感じた。暮らしの継続を行う為のユニットケア、少人数ケアの体制、自分の住まいと思える環境、暮らしを続けてもらう暮らしをつくる、24時間の暮らしを保障する仕組み、この4つのポイントを知ることが出来たことで、どこかで職員目線で考えていたことが入居者目線で考えやすくなると思った。重度の認知症の方や重度化した身体機能の方への些細な反応を読み取り、細やかな専任のサポートへの効果があることが介護のやりがいにつながると思った。
≪実地研修受入施設≫
- 過去にリーダー研修を受講した職員がいるが、その人の作成した運営計画書を見たことが無いという受講者がおおいので、今回の皆さんからは、必ず自分が作成した計画を上司だけではなく、同僚や部下にも見てもらい、協力して欲しい旨を伝える機会を自ら作って欲しいと伝えた。
★第2回看護職のためのユニットケア研修 開催レポート
【開催】 平成26年9月29日(月) 10時30分 ~ 18時00分
【開催】 平成26年8月30日(火) 09時30分 ~ 16時00分
【会場】 御茶ノ水ソラシティ カンファレンスセンター
看護の専門性を発揮するには、「診断リスト作成!」。今回の目玉です。「暮らしの場」に看護としてどうかかわったらいいか、この悩みは、この手法と24Hシートで根拠を持ち解決できます。
≪☆診断リスト作成のポイントは・・・・?≫
1.診断リストとは、「目次」である。
2.診断の優先順位をつけるようする。
<第1位> 生命と直結すること!
<第2位> 入居者、家族が問題にしていること!
3.原因と誘因(引き起こす原因)を考える。
4.原因(エビデンス)は、たくさんあるので探る。
≪☆研修トピックス≫
1.バイタルとは?
一言で、「バイタル」といっても特別養護老人ホームでは、バイタルの平均値=「健康値」といいます。そこで・・・
- 血圧、熱の数値を測ることが必要である。脈と呼吸はいらない。介護職員に測ることをお願いするならば、そのことを説明し、具体的な指示を出すようにする。
- 「様子見しておいてください。」という指示では、看護職員としては、もう1つ配慮が足りていない。「バイタルを測っておくように。」ではなく、「血圧と熱の数値が欲しい。」と言えば、介護職員にも的確に伝わる。
2.介護職が足らないところを私たちは手助けするのでしょうか・・・?
- 手伝ってください。優秀な介護職がいるのならば、(信頼おける)頼むとか。
助け合ってください。しかし、全部、看護職の仕事であることを自覚してください。
3.先生のモチベーションは?
- 看護師である私は、看護師という職業が嫌いなのかも。しかし、好きこそものの上手なれ、と言って、「私にあっていないかも。」と思うから、努力できる。勉強して医者と戦おうと思った。将来、看護職になる人の教諭をし、使命感でいっぱい。
≪受講者の感想≫
・勤務経験・・・医療機関7年、高齢者施設10年
ケアは介護スタッフと共に行い連携は取れていると思っているが、看護師としての専門性と責任についてどんどん発揮して行かなければと思う。看護診断をしっかりしたいと思います。
・勤務経験・・・医療機関15年、高齢者施設4年
アセスメント・ケアを24Hシートに落とすことによって、その方の全てが読み取れる内容でなければならないこと。それができていれば全てに活用できる。(情報の共有、伝達にもつながる。)
いつもの小野先生の言葉、「こんなこともしないなら、施設で看護師はいらなくなるわよ!」という愛の言葉を年に1回は聞きたいというファンが急増です。
★東北ブロック フォローアップ研修 ~質の高い施設づくりを目指して~
【開催】 平成26年10月7日(火) 13時00分 ~ 17時40分
【開催】 平成26年10月8日(水) 09時00分 ~ 12時00分
【会場】 仙台ロイヤルパークホテル
澄んだ空気のなか、緑に囲まれたホテルの会場で東北ブロックのフォローアップ研修が開催されました。
初日の第1講演。厚生労働省・東北厚生局の家田氏より「老人福祉施設をめぐる諸問題について」のお話をいただきました。今後高齢者がどのように増加していくのか、また平成27年度より特養の機能の重点化を図ることなど、介護保険を取り巻く状況や地域包括ケアシステムの構築、地域医療・介護総合確保法の概要等について学びました。
次は、舞浜倶楽部のグスタフ・ストランデル氏より「高齢者の尊厳を支えるケアを考える」をテーマに、スウェーデンの福祉の考え方や施設がどのように変わってきたか、認知症患者がどのように暮らしているのか、お話をいただきました。点滅式のホワイトボードでの時間管理システムや薬の飲み忘れ・飲み過ぎを防ぐピルケースなど、スウェーデンではやってあげる介護ではなく、最後まで可能な限り自分でやってもらう自立支援の介護であることがわかりました。
最終講演は、当秋葉センター長の「施設種別にとらわれない個別ケアの在り方」。
今年のフォローアップ研修は、幅広く、いろいろな受講者にも参加を促しました。
2日目からは本題である24Hシートについて実地研修施設が自らの事例を用いて、活用方法と、多職種への理解を求めるための取り組みを進めて行きました。
≪ユニットリーダー研修指導者メッセージ≫
★指導者として大事にしていること
社会福祉法人順明会 特別養護老人ホーム ジャルダン・リラ
教育・研修事業所 所長 村上 実奈
私がユニットケアの指導者として大事にしていることは、①「現状に満足せず学び続けること」②「ケアに対する強い思いを持ち続けること」③「ユニットケアの楽しさを伝え続けること」です。ユニットケアを知り、真剣に取り組んだことで、入居者の表情や、行動、様子がとてもよく見え、何を求めているのかわかるようになりました。毎日が発見の連続で、介護の仕事は大変かもしれないけど、それ以上に入居者との関わりは楽しいということを実感しました。入居者の笑顔を見るたび、この笑顔を最後の瞬間まで見続けたいと強く思います。入居者から伝わってくるメッセージを一人でも多くの方に感じて、知ってもらうために、私は日々思いを伝え続けたいと思います。