天高く馬肥ゆる秋 ~研修が目白押しの秋です!~(11月)

★平成26年度後期 ユニットケア研修関係者連絡会

 

「ユニットケア研修関係者連絡会」は、年2回全ユニットリーダー研修実地研修施設(55か所)と行政担当者、当センター理事等が一堂に会し、ユニットケアが目指すことの確認とユニット型施設の役割等について確認・学ぶ場です。

毎回、テーマを持ち研修会を開いています。今回は、ユニットケアが目指す「入居者一人一人の暮らしの継続=自律生活支援」をより深めるために、多職種、特にPTやOT、看護師の専門性の活かし方に焦点を当てました。施設はチームケアです。せっかく各職種が専門性を持っていてもそれを結集できないことが大きな課題として挙げられています。その解決策の具体例を示しました。まずは、「情報共有→研修会や会議には必ず参加してもらい目指すことを共有」次は「ケアの視点の共有(1日の暮らし)→専門的視点を24Hシートに書き込む」です。簡単なようでこれがなかなか出来ないのが介護現場です。会場からは「暮らしに視点が向いているPTの見分け方は・・・?」などの質問がありました。

二つ目のテーマは、ユニット型施設の地域貢献・地域での役割です。ユニットケアはケアの質ばかりにこだわっているのではありません。「地域に愛される施設」そうなることが最大のねらいです。そのためにも、「あの施設に行けば・・・」というように安心していただける施設として、ケアの質の担保と地域での活動性が求められます。その実践例として熊本市の「くわのみ荘」跡部理事長から、「地域住民を対象にした〝終活〟の取り組み、そこから発展したサークル活動等」今、まさに社会福祉法人に求められている役割を報告いただきました。

この連絡会は、互いの連携と新たな刺激を受けあう、高齢者介護の在り方を追求する場です。ユニットケアに真摯に取り組んでいる実地研修施設が共に、細やかに研修等を行うことで、質の向上を目指し、目標を達成し、ユニットケアの普及に取り組むことができます。
 その結果、おのずと地域に愛される施設が増えると信じています。

★ユニットケア研修フォローアップ研修続々開催!・・・・・・

◆関東・北陸ブロックフォローアップ研修 (埼玉県ユニットケアフォローアップ研修)
【開催】 平成26年11月4日(火) 13時00分 ~ 17時00分
【開催】 平成26年11月5日(水) 09時00分 ~ 16時00分
【会場】 埼玉会館 (さいたま市)

報告者:特別養護老人ホーム 真寿園  施設長 平山 政浩 氏

埼玉県と関東北陸ブロックユニットケア推進協会合同主催で開催しました。テーマは「ユニットケアをマネジメントする」~具体的な取組を通じて~。 この研修は、「学び<実践」に力を注ぎ研修を行ってきましたが、実践に結び付くには、キーマンがいることが分かりました。

★キーマンとは?
1)誰が、どのような旗を振り計画を推進しているのか?
2)計画の推進を妨げているのは、何か?

※これら2点のマネジメントでより良いユニットケアを実践するための検証研修を行いました。

1日目は秋葉センター長の基調講演から始まり、続いて埼玉県の実地研修施設の「いきいきタウンとだ」と「真寿園」の職員で <ユニットケアの実践>をテーマに意見交換会を行いました。

2日目は、本題の「ユニットケアをマネジメントする」~具体的な取組を通じて~を東京都の実地研修施設の「ちょうふ花園」・「かしわ園」、茨城県の実地研修施設の「桜の郷 元気」の指導者による講義を行いました。

講義は具体的内容であったため、「推進」や「妨げ」のキーマンが明らかに浮かび上がりました。受講者からは、明確で分かり易かったとの声をいただきました。その後はグループワーク、そして、最後にマネジメント計画の作成、発表で研修を締めくくりました。発表には、講義での内容が多く含まれており研修の成功を実感いたしました。

◆近畿ブロックフォローアップ研修 (舞鶴市)
【開催】 平成26年11月11日(火) 11時00分 ~ 16時00分
【会場】 舞鶴赤レンガパーク

報告者:特別養護老人ホーム グレイスヴィルまいづる  施設長 淡路由紀子 氏

関西地区の実地研修施設(10施設)からなる近畿ユニットケア推進協会では、平成26年度のフォローアップ研修として『第5回ユニットケア・コンビニフォーラム ~もっと良いケアがしたい!その思いを形にしよう~ 』を11月11日(火)に京都府舞鶴市の赤レンガパークにおいて開催しました。

関西では、毎年、100名程度で、グループワーク等も交え、交流を深めながら学び合うことができる、身近で“コンビニエンス”な研修会を開催しています。

今年は、研修施設のあるまちで開催し、会場に各施設の24Hシートをパネル展示、オプションとして研修の前後2日間に施設見学会を行うという企画で開催したところ、京都市内から電車で2時間とういう舞鶴市での開催にも関わらず、関西はもとより、四国、北陸などからもご参加いただき、参加者115名(うち見学合計35名)で開催することができました。特に、各施設が工夫を凝らしてプレゼンテーションした24Hシートの展示は、開会前から人だかりができ、大変反響をいただきました。

実地研修施設のある地で、地元行政等の協力もいただき、ユニットケア、個別ケアを広げていく・・関西地区では、今後も研修施設が<我がまち>で果たす役割も考えながら、地域に根差したコンビニエンスな研修会の開催を検討していきたいと思います。



★各種団体や都道府県主催の研修へ!!・・・・・・

◆「全国福祉用具相談・研修機関協議会」発足の全国会議・勉強会
【開催】平成26年10月30日(木) ~ 31日(金)
【会場】弘済会館 (東京都千代田区)

テクノエイド協会理事長・当センター副会長の大橋謙策先生のお話にもあった「自律支援にむけた福祉用具の活用には、今ある縦割りのそれぞれの専門分野を横に結び付ける」ために、全国福祉用具相談・研修機関協議会の発足の全国会議と研修会が10月30日から2日間開催され、会員として参加しました。

当センターでも、これからの重度化に向けて「福祉用具の活用」の講義には時間をかけています。しかし、気が付かなかったこととして、補聴器による「聞こえの保障」がありました。「聞こえの保障」を実現しなければ、介護する側の一方的な思いによるケアに走ってしまう恐れがあります。補聴器を正しく使用することで、最期までその方の声に耳を傾け、思いに沿ったケアに繋げていくことができます。コミュニケーションを充実させ、利用者の意志や意欲を的確に把握したサービスを提供することは、個人の尊厳を守ることにも繋がることを教えられました。日本国内の補聴器使用率は、諸外国に比べて非常に低いようです。このように幅広い関係団体と連携し、さらなる高齢者福祉の向上に努めていきたいと思います。

◆東播磨ブロック老人福祉事業協会 職員研修(従来型施設も含めた、個別ケア研修)
【開催】 平成26年10月23日(木) 13時30分 ~ 16時30分
【会場】 兵庫県小野市

従来型施設の方から、自分たちはユニットケアの研修に参加資格がないので、ユニットケアではどんな研修をしているのか知りたいという希望があり、「ユニットケアを通して個別ケアを考えよう~従来型特養にも対応できるユニットケア~」というお題をいただき、研修をさせていただきました。

関係者から、講義の感想をいただきましたので、ご紹介します。

≪主催者側の感想≫

  • “施設は、従来型特養であったとしても、「暮らしの継続の場」であること、個別ケアの大切さに”ついて職員の皆さん、ひとりひとりに良い気づきができた。

≪受講者の感想≫

  • ユニットケアとは、ユニット型・従来型に関わらず、個別の24Hシートを作って、ひとりひとりの自宅での生活と同じ状態で過ごせるように対応することだということが理解できました。
  • プロとしての意識をもつこと、従来型であっても意識することによって変化はできるとのこと、個別ケアが大切であることが分かりました。
  • 個別ケアの内容の濃さにすごく感心しました。それだけでなく、施設の運営・理念などについても、これからの自分の介護に対する思い・ケアに対することも高めていきたいです

このようにこの頃は、従来型施設も含めた個別ケアの研修の依頼が多くなっています。

◆熊本県ケア基礎研修第1回フォローアップ研修
【開催】 平成26年10月24日(金) 14時00分 ~ 16時00分
【会場】 熊本市食品交流会館

報告者:特別養護老人ホーム くわのみ荘 介護長 本戸 伸治 氏

この研修は5年前から熊本県主催で行っているユニットケア基礎研修のフォローアップの研修です。『あきらめていませんか、ユニットケア』と題して、秋葉センター長を講師に迎え開催しました。

先生からは、ユニットケアの根拠となる制度面からの話やユニットケアのポイントを限られた時間の中で、分かりやすく説明頂きました。参加された方は、熱心に耳を傾けペンを走らせながら、自施設を振り返っておられるようでした。

≪アンケート結果≫

  • 24Hシートの大切さが分かった。一日でも早く作成したいです。
  • 「ケアの目標=暮らしの継続」「ケアの視点=一日の暮らし方」この二つを施設で説明します。
  • プロとして根拠に基づいてケアを行うことが大切であると痛感しました。

今回の研修に参加したことで、ユニットケアについて再確認できた方や自施設の課題に気づかれた方など、参加者それぞれの気づきがあったようでした。 今後も、県と連携をとりながらユニットケアの推進に努め、地域で愛される施設を・・・を目標に取り組んでいきたいと思います。

★栃木県 社会福祉法人スイートホーム
【開催】 平成26年10月22日(水) 13時00分 ~ 15時30分
【会場】 蔵の街 ひまわり研修会場

報告者:特別養護老人ホーム 蔵の街ひまわり 施設長 古口 秀子 氏

8月1日に29室の地域密着型特養をオープンしました。職員の半数は、既存特養からの異動で、新しい環境に慣れるので精一杯で、24Hシートの作成も、各ユニットの力量により作成されていたユニット、全員の作成ができていなかったユニットとばらばらの状態でした。入居者の方々も、新しい環境の中で、生活に馴染もうとしている姿が窺えた3ヶ月間でした。

10月22日に、既存特養の施設職員と合同で「24Hシートのねらいと作成」の学習会を実施しました。「24Hシート」を始めて聞く者、再学習できた者、まちまちでしたが、入居者が、“自分らしく生きることをケアの基本理念に馴染みの生活の継続、自律した生活、生活の質の確保を保障”する上で、いかに24Hシートが重要であるかが、深く理解できたのではないかと感じました。

さらにこの時期に3点振り返ることができました。


1.入居前の聞き取り項目を再確認
2.本人の入居前の生活が入居後も継続できているか
3.意向や好みが、ケアプランや日頃の暮らしにきちんと反映されているか

 

 

今後はこの振り返りを基に、いかに多くの情報を収集し、本人の気持ちを引き出し、その人らしい暮らしを送っていただくケアができるか。それぞれの職員が担当入居者の24Hシートを作成することでどのように関わっていくのか、施設長として、各ユニットの雰囲気と入居者の表情を1日1日見ていきたいと考えます。

◆平成26年度 秋田県個別ケアに関する事業所管理者・職員研修事業
【日時】管理者研修:平成26年11月13日(木)・平成26年11月14日(金)
【日時】職員研修:平成26年11月04日(火)・平成26年11月05日(水)
【場所】秋田県秋田市

秋田県では、平成24年度から、介護サービス事業所において、より質の高い介護サービスの提供のために研修を企画しています。それは、グループワークを主とし、個別ケアの具体的手法とユニット型事業所における実践例を学ぶことと、県内事業所間の相互ネットワークを図ることを目的に開催しています。
3年目を迎える今年も、この事業を受託し秋田県へ行ってきました。
今年の参加者の特徴として、①「事業所管理者研修」では、半分がショートスティの管理者であったこと、②「職員研修」では、従来型施設の参加が多かったこと、③「参加職種」が、介護職以外の看護師・事務次長等の多職種であったことの3つでした。

今年の研修の特徴をご紹介します。

*事業所管理者研修

1、「管理者の役割は何か?」その具体的方策に関心を示した

「具体的に何をしたらいいのか?」管理者は悩んでいます。ユニット型施設の運営、個別ケアに向けた運営には、運営基準にもあるように今までとは異なるケア方針が示されています。グループワークでの質問は、具体的な質問が多かったです。ミニコンサルのような研修の場がやはり少ない。「施設長はなかなか具体的に聞く場がない。施設長同士で話ができよかった。」という言葉をいただきました。

*職員研修

1、「従来型施設における個別ケア実践」

従来型の施設の方々から、段階的なグループ化の導入方法や改修の仕方等の情報提供を求められました。“現状出来ることは何かを考え、実践につなげる”そんな思いが伝わるものでした。

2、「3年目の効果!?」

ユニットケアの特徴の1つとして、「ユニット毎、グループ毎の職員の固定配置」があります。例年、実施状況を確認するために、実践している施設に手を挙げてもらうのですが、パラパラ・・・・でした。しかし、今年の反応は「あれ!?・・・1.2.3.4.5・6・7・・」と数を数えるほどに!!これには、この企画を担当してきた行政の方も、少し驚きの様子でした。繰り返し参加して続けてきた施設に変化が見え始めてきました。この研修を続けてきた大きな成果だと実感するものでした。

3、「切実な問題と直面」

その一方で、介護職員だけでは解決できない問題も多くあげられました。勤務時間が9時~22時で残業することを前提とした体系や介護職に対して医療行為を求めている施設、人員確保ができない故に満足な人員配置ができず職員教育もままならないなど様々です。こうした問題については、事業所管理者を対象とした研修で取り上げてもらい、2つの研修のつながりを持たせ、介護現場の切実な問題を検討してもらうこととしました。

3年間、継続して取り組んできたこの研修が、少しずつではありますが着実に介護現場を変えてきました。これは、現状、さまざまな課題を抱える介護施設が多いことを十分に理解し、配慮しながらも、この研修を継続してきた秋田県健康福祉部長寿社会課 介護保険班の方々の力はとても大きなものだと感じました。研修中も、一緒に講義に参加し、時に質問に答え、その場で相談に乗るなど、本当に親身になって接しています。是非、これからもこの活動を一緒に取り組んでいきたいと思います。

★第1回 食に携わる職員のためのユニットケア研修 開催レポート

【開催】 平成26年10月28日(火) 10時30分 ~ 18時00分
【開催】 平成26年10月29日(水) 09時30分 ~ 16時00分
【会場】 御茶ノ水ソラシティ カンファレンスセンター

「栄養を計算することが栄養士の全てだと思ってはいけません。栄養ではなく、入居者を見守る勇気・見届ける覚悟が必要です。」尚絅大学短期大学部 本田先生の冒頭の言葉が強烈だったようです。

先生の経験の中でも「暮らしの場」に栄養士の専門性はあるのか?特に看取り期は、とても悩んだそうです。口から食べることはできない入居者に対して、栄養士がどう専門性を発揮するのか、役割が分からず、入居者の背中をさするしかなかった、けれど、ご家族からはとても感謝され、栄養士の役割を再認識したそうです。

日頃は、「食器があたる音」「食事のにおい」「目の前の料理」、人が持つ五感を刺激するよう心掛けています。何歳になっても、食事はおいしく、楽しく食べたいものですよね?高齢者施設においては食を通して、入居者に幸せになっていただくことが求められます。


「美味しいのは当たり前、その上で食を楽しむ工夫を常に考えることが大事。」と、社会福祉法人市原寮 管理栄養士の芦澤さんは言われます。ユニットケアならば、入居者の暮らしを支える一人として、入居者を喜ばせること。その人にあった幸せのカタチを見つけることができるのではないでしょうか?


≪受講者の感想≫
・勤務経験・・・行政、福祉施設30年、高齢者施設5年

すべての内容について理解できた。ユニットケアとは、地域で愛され、信頼される施設となること学び、型にとらわれなくてもいい。入居者をよく知り、寄り添い、私自身が笑顔でいることを忘れない。施設は、多職種との連携が密にとれているのだな、と感じました。現場の職員に感謝し今後も人間関係を大切にしていくことで入居者へのQOLの向上につなげていきたいと思います。

・勤務経験・・・高齢者施設10年

栄養士は、一人しかいないので、多職種との連携がとても大切である。自分から声をかけて距離を縮めていかなければいけない。24Hシートをみることが少ないため、もっとみるようにしてその方の暮らしを知っていく。

≪ユニットリーダー研修指導者メッセージ≫
★受講者が自主的に目標を定めるためには  ~受講者との対話を大切に~

医療法人博愛会 介護老人保健施設ぺあれんと 介護主任(介護支援専門員)・介護福祉士 野村美代子

自分の施設の課題に試行錯誤をしている中で、上手くいかなかった原因が、研修中の実習生の気持ちと重なる事があります。実践する職員自身が、必要性を感じておらず、「やらされ感」を持って臨む事です。ですから、何かを取り組むにあたっては、「理念」に向かってユニットの職員が自ら目標を定めてもらえるよう、押しつけるのではなく「対話」を通して自ら「~したい」という想いを引き出すことが大切だと考えます。

受講者に運営計画書を立ててもらう時も、「研修の課題だから」と作成するのが目的とならないようにしたいと思っています。座学で伝える「ユニットケアが目指すこと」「理論や考え方」と、現場実習での実際の「暮らし」を営んでいる入居者の姿を見てもらう事を通して、受講者自ら「自分の施設を変えたい。良くしたい」と想ってもらえるように、受講者との対話を大切にし、目標を導き出して運営計画作成に繋げるように心掛けています。

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