春うらら。新年度スタート、その計画のご紹介です。(3月)

★一般社団法人 日本ユニットケア推進センター 平成27年度の新規事業のお知らせ

去る3月11日、横浜ベイホテル東急で、平成26年度通常理事会が開催され、平成27年度の事業計画案と予算案が審議され、満場一致で可決成立されました。

ここでは、平成27年度の新規事業の主なものについてご紹介します。

ユニットケア研修がスタートし、10年が経過する中、ユニットケアを取り巻く社会環境が変化し、更に、地域包括ケアシステムにおけるユニット型施設に求められる役割なども加わり、ユニットケア施設の役割は制度創設時に比べ一層その重要性が増してきました。

その中で、ユニットケア研修は、制度発足の平成15年度から直近までの12年間でユニットケア施設管理者研修を受講された方は、全国で4,789人の方々、ユニットリーダー研修を受講された方は、全国で33,299人の方々が受講されてきました。ユニットケア研修修了者は、それぞれの施設の施設長として、法人の役員として、ユニットケア施設の中堅幹部として、また、第一線のユニットリーダーとしていろいろな重要な役割を担い、ユニットケアの普及・推進のためご活躍されております。

このような状況を踏まえ、平成27年度事業計画では、基本方針の大きな柱として、「ユニットリーダー研修実地施設拡充への取組み」を掲げています。実地研修施設の拡大としては、3ユニットの小規模な施設も対象に加えることとし(厚生労働省に協議中)、また、実地研修施設の質の担保と情報交流を深めるためユニットケア研修関係者連絡会・勉強会の充実を図ることとし、更には、平成27年度介護報酬の引き下げが予定される中、ユニットケア施設を運営していくうえで職員の固定配置などの課題を含めユニットケアの理念、ユニットケアのあり方について、検討・研究するための場を設けることとしています。

①ユニットケア施設管理者研修修了者の再受講を認める

ユニットケア施設管理者研修修了者は、これまで約5,000人に達しようとしています。
ユニットケア施設は、施設管理者とユニットリーダーの連携なくしてはユニットケアの理念も成り立ちません。特に、ユニットリーダー研修実地研修施設は、新たにユニット型施設として運営する施設のお手本でもあり、ユニットケア研修の重要な役割をもっています。その中でも施設管理者の役割は重要でこの急激な社会環境の変化に対応するため、また、施設管理者研修修了者からの要望もあり、平成27年度から再受講を認めることとしました。

②ユニットケアの基礎研修の実施

新入職員や新人職員を対象としたユニットリーダー研修導入研修に位置づけ、ユニットリーダーを目指す者をターゲットにし、円滑にリーダー研修に臨める力をつけ、連続的に研修制度がつながる役割をもたせるため、平成27年度からユニットケアの基礎研修を実施することにしました。(各施設における個別ケアの底上げにもなる。)
<計画の概要>

  • ユニットリーダー研修未受講者を対象に基礎研修を実施
  • 全国7ブロックで1回(定員100名)、講義方式で実施
  • 1日研修(10時~16時)で実施
③従来型施設職員向け個別ケア研修の実施

ユニットケアは、ユニット型施設だけの個別ケアでなく、従来型施設の個別ケアの方法として活用できるということで、平成26年度の研究事業として従来型施設職員向けのカリキュラム策定作業を進めてきましたが、平成27年度から各県老人福祉施設協議会の協力を得て試行的に全国3か所で実施することとしました。

具体的には、4月~5月に平成26年度の研究事業のモデル研修として埼玉県の施設で行い、研修カリキュラム、教材など統一したものを確定し、その後、秋田県、三重県、熊本県の3か所で1か所30名~100名程度で募集を行うこととしています。

④仮称「ユニットケアの理念に添い、適正な運営方法の検討」の検討会立ち上げ

「人材不足が深刻の中、ユニットケアは継続できるのだろうか・・・?」「報酬改定でこの先どうなるのだろうか・・・?」の声が多く聞こえています。「暮らしの継続」の理念の下、進んできたユニットケアは、憲法13条にも規定されている「個人の尊厳」につながる大事なケア論です。これを後戻りさせるわけはできません。上記声を生かし、理念に基づく、現状に合った運営方法を検討する会を発足します。

★ユニットケア研修フォーラム2015 開催報告

【開催】 平成27年3月12日(木) 9時45分 ~ 16時30分
【会場】 パシフィコ横浜 (神奈川県 横浜市)

「ユニットケア研修フォーラム2015」は、好天に恵まれ、北は北海道から南は沖縄県までの全国各地から1,262名のご参加をいただき、盛会裏のうちに修了することができました。厚く御礼申し上げます。

オリエンテーションでは、男性のリーダー研修受講者からの声が紹介されました。

「この仕事を楽しいと思ってしている人はいるの・・・?」

「では、なぜ、この仕事しているの・・・?」

「競争がなく、決められた仕事をしていれば、給料がもらえるから・・・。」

皆さん、このままで行ってしまったら…。決められた通りにならない仕事に対しては、最悪「虐待」「離職」・・・につながります。仕事が楽しくなるには、「極める」。「皆で学ぼう」という掛け声とともにフォーラムが始まりました。

基調講演では、ハプニングがありました。予定の三浦老健局長の前日からの発熱に代え、逸見高齢者支援課課長が急きょ、資料は局長のままのもので代理講演をしてくださいました。特にユニット型施設の集まりという事もあり、レジメ以外に施設関係の資料として説明をしてくださり、わかりやすかったです。

今年のテーマの「正しく知ろうユニットケア」でした。正しく知る努力をすることで、大切な1歩を踏み出せて頂けていたのなら幸いです。(アンケート結果は次号で紹介します)

緊急企画 「2015年介護保険制度改正の主なポイントとケアの質を考える」研修会

【開催】 平成27年3月17日(木) 13時00分 ~ 17時00分
【会場】 戸山サンライズ (東京都 新宿区)

去る、平成27年3月17日、緊急企画として「2015年介護保険制度改正の主なポイントとケアの質を考える」研修会が戸山サンライズ(全国障害者総合福祉センター)で開催されました。会場の都合で当初募集人員を100名としていましたが、応募が多数あり、急遽会場を変更し、全国から129名の方が参加され、活気あふれる研修会となりました。

厚生労働省の高齢者支援課・懸上課長補佐を講師とし、この度の介護保険制度改正について詳しく説明いただきました。その後質疑応答が行われ、予定時間を大きく超える活発な質疑応答となりました。

ここでは、平成27年度の介護報酬改定に係る基本的考え方などについてご紹介します。

平成27年度の介護報酬改定は、2025年に向けて、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される「地域包括ケアシステム」の構築を実現していくため、平成26年度制度改正の趣旨を踏まえ、中重度の要介護者や認知症高齢者への対応の更なる強化、介護人材確保の推進、サービス評価の適正化と効率的なサービス提供体制の構築といった基本的な考え方に基づき改定されています。

さらに、賃金・物価の状況、介護事業者の経営状況等を踏まえ、介護報酬の改定率は全体で▲2.27%になりました。(内訳は、処遇改善加算の拡充:+1.65%、中重度の要介護者等に対する在宅生活を支援するためのサービスの充実:+0.56%、収支状況などを反映した適正化等:▲4.48%)

なお、介護老人福祉施設の見直しにつきましては、基本サービス費の部分は見直しが行われ減算され、日常生活継続支援加算及び処遇改善加算についてはそれぞれアップされ、トータルで見ると、次の表のように、加算をうまく活用すれば若干プラスになるということです。

<表1:介護老人福祉施設の報酬改定後イメージ【要介護5の場合】>
 
現  行
見直し後
ユニット型個室 1,062単位 / 日 1,065単位 / 日
多  床  室 1,021単位 / 日 1,015単位 / 日
  • 上記に加え、看取り介護加算(死亡日以前4日以上30日以下144単位)、在宅・入所相互利用加算(40単位)について、今回の見直しにより充実している。
    そのほか、サービス提供体制強化加算(日常生活継続支援加算を算定できない場合)、療養食加算・経口移行加算・経口維持加算等がある。

指導者の抱負 ~委員会の活動を通して~

社会福祉法人 久義会 特別養護老人ホーム 高秀苑 山下 聡理 氏

 

「ユニットリーダー研修のグループワーク時にでた質問の回答集の作成」の委員会で1年間活動をしました。

リーダー研修では、多方面からいろいろな疑問が出ます。研修の意義は、「ユニットケアを導入するための理論と手法を学ぶ」にありますから、そこにすべからく回答し、疑問を残さないことが肝心です。そのためのコーディネーターや講師の役割が求められています。

  • 疑問に答えられない
  • 受講者が課題にしている内容が理解できない

等の課題が出され、下記のように取り組みました。

  • 疑問解決の道しるべをつくるために、疑問が生じるまでのプロセス重視で回答集を作成した
  • 方法論は一つではないので、それぞれの委員が考える回答をのせ、ケースバイケースで活用できるようにした

このように、指導者は研修を担う役割だけではなく、共に質を上げる努力も指導者同士でしています。

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