ユニットケア充実のために、
多方面との関わりを持ちました(12月)
★行政担当者とともに考えるユニット型施設整備についての研究会
【開催】 平成26年12月 1日 (月) 10時30分~17時00分
【会場】 御茶ノ水ソラシティ カンファレンスセンター
この研究会の発足は、3年前です。
国立保健医療科学院において都道府県、政令市および中核市の担当者向けに「ユニットケアに関する研修(施設整備・サービスマネージメント)」が開催されております。しかし、募集枠の関係から、受講できない行政担当者がいること、市町村に権限が委譲されながらも、市町村職員向けの同様の研修がないこと等の理由から、可能な限り情報共有を図ることを目的にこの研究会を発足致しました。
講師陣は上記の研修会と同様で、厚労省の講義から始まり、ユニットケアの理念と意義、建築の在り方、そして、今回初の企画として、ユニットケアと社会福祉法人の在り方について考える講義も設けました。
研修で大事にしていることは、理論のみではなく実践に結び付く内容にすることでしたので、グループに分かれての研修を行いました。
例えば、こんな質問を投げかけます。“「包丁がユニットのキッチンに置いてあったら、どうでしょう・・・?どんな指導をするでしょうか・・・?置いてはいけないと指導してはいないでしょうか・・・?」さて、みなさんならどう答えるでしょうか。
この場合の対応としては、「どの人が、どの時間がだめなのか?なぜだめなのか?」がキーワードになります。ユニット型施設が目指す「暮らしの継続」には、指導側の行政と運営側の施設が同じ方向を向くことが、利用者にとって当たり前の暮らしが保障されるケアに繋がる、そのことを共有しました。
図面指導では、行政担当者の方が、施設の設計図から具体的な指導ができるよう実際に作られた施設の平面図をみながら三角スケールを使用し、高齢者の暮らしと、施設運営の先を見通した経営のあり方を考慮しつつ、なおかつ根拠をもって指導にあたれるような講義・演習が行われました。
この講義を担当してくださった、社会事業大学の井上由紀子先生から、「社会福祉法人は、数十年に一度建物を建てるだけです。何度も平面図をみる行政担当者がきちんと指導、助言しないとおかしな建物がたってしまいます。」と、叱咤激励の言葉がある中、三角スケールをはじめて手にされた方も、平図面から読み取れる状況を一生懸命考えていました。高齢者視点で環境を考えること、「建物には理論がある」ことを理解いただき、正しい建物の建設を導いていただきたいです。
★実地研修施設対象研修会 ~暮らしを豊かにする「食べる」を保障する ~
【開催】 平成26年11月 30日 (日) 10時00分~16時00分
【会場】 介護老人保健施設 ふかわ・くにくさ
実地研修先を対象とした研修会は、年2回東京で開催されます。それに加え、実地研修先施設で先進的な取り組み等があれば、その施設に伺い学ぶ機会を昨年より実地しています。今年は、「凍結含浸法」がテーマです。この方法は、広島県が特許を持ち推進している調理法で、県内にある実地研修先の老健施設「ふかわ・くにくさ」に伺いました。
その技術や効用は、HP等で調べていただきたくとして、なぜ、これを学ぶ機会を設けたかのかと言えば、「生活の中で大事にしたいこと、それは、3食の食事。食事が美味しくなければ、そこに住んでいる人の楽しみに繋がらない。」と話された理事のお言葉のとおりです。
「食」を取り巻く現状は、食形態の開発と調理法の開発では、急速な変化があります。重度化に向け、ソフト食やムース食はかなり普及し、クックチル法や真空料理法も進み、セントラルキッチンも導入されてきています。また、外食産業の食事も施設の提供物と遜色無い物、むしろ物によっては良い物も出回っています。そこにコストが関係してきますので、情報を得る努力は欠かせないのです。「どのように情報を取り、おいしい食事を提供していくか」が問われています。そんな中でも最後は「誰が作ったらおいしいか、その誰がどこで作れるか」をキーワードにして55の実地研修先施設は前に進んでいます。
【参考資料】
介護現場での「食」の悩みをご紹介します。ユニットリーダー研修での意見です。
- 三食きちんと食べなくてもいいのか?
- ソフト食はどう作るのか、その盛り付けは、どのようにしたらいいか?
- 栄養士、看護師はカロリーを重視し、全量摂取を望むが、食べてもらえない?
- 全員に、水分を一日○リットル飲ませてほしいと看護師より言われるが・・・?
- 入居者がお酒を飲んでもかまわないのか?
- 糖尿病の入居者でも、おやつやおかわりをしてもいいのか?
- 食事援助者が多い場合は、限られた職員でどのように援助したらいいだろうか?
- 入居者と一緒に食事をしたいが、途中で席をたたなければいけないことがあるが、どうしたらいいか?
受講生の皆さんも同様、「美味しく楽しく食事をしていただく」ための疑問を抱え、実地研修先に学びに行っています。「暮らしと食」この関係性をこれからも追及していきます。
★新潟県ユニットケア研修 2014レポート
【開催】 平成26年11月18日(火) 13時00分 ~ 17時00分
【開催】 平成26年11月19日(水) 09時30分 ~ 15時00分
【会場】 新潟県自治会館 (新潟市)
報告者:特別養護老人ホーム 三好園しんざ 施設長 松村 実 氏
「ユニットケアの推進に向けて~個別ケアの道しるべ~」と題し、新潟県と関東・北陸ブロックユニットケア推進協会の共催で研修会が開催されました。
昨年の研修会のアンケート調査では、「時間が足りなかった。もっと詳しい内容を勉強したい。」「他の施設との情報交換をしたい。」等、1日研修では物足りない意見を多数いただいておりました。今年は、新潟県担当者と数回にわたる企画会議を経て、政令都市の新潟市も加わっていただき、2日間の研修会を共催で行うことが実現しました。そのカリキュラムを決定する企画会議は、我々の施設に県の方が出向いてくださり、現場の実情を把握したうえで、どのような内容にするかの検討になりました。おかげで、受講者のアンケート結果は「24Hシートの活用方法について、講師の具体例を知りたかった」等の具体的な内容のものが多く寄せられました。これはまた、次年度へのステップアップの材料になります。施設を暮らしの継続の場にすることは、簡単ではありません。しかし、一歩ずつ、具体的に前を向いて進んでいくこと、仲間とともに進むこと、そのことが大事なフォローアップ研修でした。
★東京都ユニットケアフォローアップ研修
【開催】 平成26年11月20日(木) 10時00分 ~ 16時30分
【会場】 多摩永山情報教育センター教育棟 (多摩市)
報告者:特別養護老人ホーム ちょうふ花園 施設長 梅津 鋼 氏
東京都の共催を得ながら関東北陸ブロックユニットケア推進協会により開催いたしました。本年も例年通り3コースに分けての分科会(A:ユニットケアとは何か!なぜ、必要なのか! B:24Hシートの正しい知識、各施設の悩み共有 C:管理職の悩みを共有、定着・離職防止に向けて)と「ユニットケア10年の歩みとこれから」とのテーマで、秋葉センター長に講演をいただきました。
各コースともグループワーク形式の進行で、活発な意見があり、自らが考え、行動に移していくことの必要性を実感して頂いたようです。
また今年は、研修後の懇親会を実施し、講師陣と管理者、現場の皆さんと交流を深めることができました。その中でも、民間の事業者のエリアマネージャーが2名参加され、民間が本気で力をいれた際、良い意味でユニットケアが推進されると思われました。
★東海ブロック ユニットケアフォローアップ研修
【開催】 平成26年11月17日(月) 10時00分 ~ 16時00分
【会場】 静岡県男女共同参画センター あざれあ (静岡市)
報告者:特別養護老人ホーム 晃の園 原田 幸恵 氏
中部ブロックのフォローアップ研修は『24Hシート使いこなし術』をテーマに、11月17日に静岡県で開催し、270名の参加がありました。
主な内容は、午前は秋葉センター長より「個別ケアの基本」について講義を頂き、午後の分科会は2つに分けました(ユニットリーダー研修受講済コース、未受講コース)。
受講済コースでは「効果的教育の実行力を身につけるための24Hシート」について、グループワークの時間を多く取り、課題の中で活用へ繋がるものを講師陣が自施設の事例を元に答えていきました。
未受講済コースでは「高齢者の暮らしの継続を保証するための24Hシート」について、ユニットリーダー研修の講義内容やグループワークも取り入れ、24Hシートの基礎をおさえていきました。どちらもグループワークでは積極的に意見が交わされ、課題に対する講師陣の事例は参考になったようでした。
アンケート結果からは、24Hシートに対する前向きな思いが聞かれる一方で、講義内容は理解できたがこの研修を自施設でどう活かしていくか、伝達や進め方を課題としている声もありました。今回、分科会の教室は役職別に分けず管理者もユニットリーダー等も同じ教室での受講としたので、講師側もそれぞれの立場からの思いや意見、事例を伝えていきました。今回のフォローアップをきっかけに、24Hシートが一歩でも前進し使いこなす施設が増える事を期待します。
★中四国フォローアップ研修
【開催】 平成26年12月12日(金) 10時00分 ~ 16時00分
【会場】 特別養護老人ホーム あざみの里 (高知市)
報告者:介護老人保健施設 きのこ老人保健施設 副施設長 宮本 憲男 氏
2014年12月12日に開催されたフォローアップ研修について報告いたします。これまでは、交通の便のこともあり毎年岡山県で開催しておりましたが、この度は思い切って四国の高知県を会場としました。これには次のような思いがありました。
①四国には実地研修受入施設が1施設しかない。
よって早急に2ヵ所目を育てたい。
②四国、中でも高知県はユニットケア施設が少ない。しかし、従来型でも個別ケアは出来ることを多くの施設に伝えたい。
③フォローアップ研修の会場・運営を快諾してくれる施設があった。
以上のことから社会福祉法人 秦ダイヤライフ福祉会の全面的な協力のもと156名の参加者ともに盛大に開催されました。
テーマは「あなたが目指す個別ケア」ということで、あえてユニットケアを前面に出しませんでした。全室個室であろうが多床室であろうが人が暮らしていることには変わりありません。どのような環境であっても入居者個々のプライバシーを尊重した「個」を認めたケア(暮らし)が提供されるのは当然のことです。この基本的な考え方を中心としてプログラムを組み立てました。基調講演ではユニットケア・地域生活研究所代表の日比野さんに「従来型施設におけるユニットケアの可能性」と題してお話しいただきました。午後からは3ヵ所に分かれて分科会形式としました。中でも第1分科会では「従来型施設でのユニットケア」というテーマで従来型を改修しユニットケアを実践している、きのこ老人保健施設とよなご幸朋苑による自施設の意識改革を受講者に伝えました。
移り住んだ施設がどこであれ、そこが普通の暮らしの場となるためには介護サービスという視点からホスピタリティという視点への意識改革が介護の概念を変える!!という想いを共有し閉会となりました。
★第2回 食に携わる職員のためのユニットケア研修 開催レポート
【開催】 平成26年11月27日(木) 10時30分 ~ 18時00分
【開催】 平成26年10月28日(金) 09時30分 ~ 16時00分
【会場】 御茶ノ水ソラシティ カンファレンスセンター
1回目の研修報告では全体像をお伝えしましたので、今回は研修の内容についてお伝えします。
「糖尿病で、食事制限があるAさん。しかし、食欲があり食事に物足りなさを訴えます。また、甘いものが好きで、家族も本人の希望通りにさせたいと頻繁におやつを持参します。みなさんは、どのように考え、対応しますか?」
一通りの考え方や知識を学び、その学びに対する疑問や不安を解決した後は、このような事例を通して、研修の理解度や栄養士としての専門性をどのように発揮すべきかを確認し合います。
この答えを導き出すには、「暮らし」の視点で多職種がいかに協働しあえるか鍵となりますが、さて、みなさんならどのように答えるでしょうか。
今回、講師としてお招きした特別養護老人ホーム晃の園の栄養士の松村さん、看護師の杉山さん、介護士の海野さんは次のように話します。
≪栄養士の松村さん≫
「大学で学んだカリキュラムには病院に関する知識が多く、施設向けに変換して働くことにとても苦労をした。そこで、自分から積極的に多職種に尋ねることで知識を深め、応用を効かせて行く事ができた。やはり1人の勉強量では難しく、多職種との連携は欠かせない」
≪看護師の杉山さん≫
「入居者は施設で暮らすために入居したと思う。栄養士は、食べられなくなったら終わりではなく、その人を支える「髪をなでたり」「声を掛けたり」などの様々な働きかけをすることも大切なことである」
≪介護士の海野さん≫
「多職種連携には、24Hシート。この活用は、ケアプランが明確になるだけでなく、皆で「暮らしを支える」ことを実感できる」
3名は、同じ施設の職員ですが、専門性の違う各領域の職種が同じ方向を向くようになるまでには、多くの苦労と時間、工夫がたくさんあったと思います。しかし、「暮らしの継続」をすることの共通する目的の捕らえ方が一致したとき、新たなステップへと進んでいったのだと話していました。
それから、もうひとつ!「食は入れる」ことですが、「排泄、出る」ことも同時に考えあわせないと本来の「食」の支援にはなりません。研修中には、「便が出たかどうかではなく、いい便が出たかどうか」という言葉も聞かれました。専門性を追求すること、多職種と関わり、知識を応用して取り組むこと、チームケアの大切さを実感できる研修でした。
≪ユニットリーダー研修指導者メッセージ≫
★「指導者の活動を通して」 ~指導者に求められる資質とは~
社会福祉法人 杜の里福祉会 特別養護老人ホーム 一重の里 生活介護部 副部長 相談員 千葉芳歩氏
指導者の活動を通して、研修生からの感想に「ユニットケアは理想だと思っていたが、実践できるとわかった」「上司に無理だと言われていたが、諦めずメリットを伝え実践したい」 等の前向きな話を聞く事があります。研修での学びを経て、ユニットケアはきれい事、出来ないと思っていた事も、具体的なやり方を知ることで実践できるという前向きな気持ちになり、多くの方が意欲的に変わります。
このような経験を通し、指導する立場にある者が、夢や理想を叶える事が出来ないと否定しては、職員は目標を見失い戸惑ってしまうということを痛感させられました。出来ない理由を伝えるのではなく、信念を持ち夢や理想を言い続け、実現させるために何を目標として行動すべきかを具体的に示しながら、粘り強く前向きに取り組む事こそが指導者として必要な資質であると私は思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、自分の明確な目標を持ち、信念を持って実践者として頑張りたいと思います。