たぶのきの支援(特別養護老人ホームたぶのき 平木 宏美)
2024年9月13日 更新
たぶのきは「生活の場」「普通の生活」を意識しています。
食べて、排泄して、入浴するだけでは「生きている」だけ。買い物に行ったり食事を作ったり、旅行や趣味を楽しんだり・・・という「活動」があってはじめて「生活」になります。もちろん出かけるだけではなく、天気の良い日にベランダへ出て日光浴をする、沈む夕陽を見る、室内で一緒にテレビを観るなど色々なことです。
要介護になったお年寄りの生活を支援し、その楽しさをともに再発見することが職員の役割です。なので、たぶのきでは介護職員を生活支援員と呼んでいます。
たぶのきでは介護経験の有無にかかわらず、新入職員は必ず入居者の疑似体験を行います。体験を通じて何が快適なのか、どうすれば入居者に負担や痛みがないかということ、介護を受ける側の気持ちを確かめます。
嚥下食を食べる、濡れたオムツを着用する、リクライニング式車いすで1日過ごす等、身をもって入居者の負担や痛みを知ることで、絶えず入居者の感覚で考えられるように、要介護状態であっても人権を尊重することの大切さを学びます。
先日のことですが、食事作りをして味見をしてもらおうと小皿を渡しましたが、その方はモジモジとするばかりで味見をしません。感想を知りたい私の視線は自然とその方の口に向けられています。「どうです?」と急かすと、「味見をする口を見られるのが恥ずかしい」と言われました。そんな恥ずかしさを全く考えていませんでした。理念に掲げている相手の気持ちになって、人権を守った支援ができていなかったと反省し、色んな場面においての「見守り」についても注意が必要だと改めて感じました。
たぶのきは福井の中でも小さな施設です。のんびりゆったりとした生活、職員も色んな役割を持ちながら支援しています。是非、福井にお越しください。
ユニットケア実践の取り組み(特別養護老人ホームビハーラ赤坂 岩村 洋樹)
2024年8月15日 更新
当施設は、平成26年6月に開設し、様々な困難もありましたが今年度より当初の目標でもあったユニットケア実地研修施設となる事が出来ました。
開設当初より24時間暮らしの支援シート(24シート)の浸透を軸に、まずは作成、そして集めた情報をどう支援に活かしていくか。各職員が頭を悩ませながらも一生懸命取り組んできました。
始めは作成していれば良い、24シートが出来ていれば良しといった雰囲気ではありましたが、いまでは定期的な更新や見直し、研修会の開催等を行い、より良い生活に繋がるよう取り組んでいます。
また、理念の浸透、重要性にも着目し、理念をもっと身近に感じられるように職員から理念を募集しました。そしてその中から、職員が自ら選び投票し『一人ひとりが自分らしく』という理念を掲げました。さらに理念を深めるための理念塾、各研修会の開催により、全職員で共有し今後のより良いケアに繋げていけるよう努めています。
その人が望むケアとは。自分だったらどう感じるのか。どうしたいのか。ケアに対する想いを持つ事も大事です。多様なニーズに応えられるよう、そしてビハーラ赤坂で暮らす入居者の皆さんが自分らしく暮らしていただけるよう、それぞれの想い、心に寄り添ったケアを念頭に置き日々の支援に励んでいます。
まだまだ、課題もありますが何か一つでも受講者の皆さんのヒントになる事があればと思っています。お待ちしております。
入居者と共に歩む(特別養護老人ホーム美瑛慈光園 畠山 健太)
2024年7月12日 更新
皆さん、はじめまして。北海道上川郡美瑛町にある特別養護老人ホーム美瑛慈光園の畠山と申します。今年度からユニットケア実地研修受入施設となり、私自身受入担当者となりました。初めての経験が多く不安や戸惑いがありますが、実習生の皆さんに少しでも実践に繋げられるようなことを、お伝えできるように取り組んでいきたいと考えています。よろしくお願いいたします。
さて、ここからタイトルの内容に入りますが、今回は私自身が介護士として大切にしている事についてエピソードを交えて記載していきたいと思います。
私は介護士になり今年で約17年目になります。初めは何も分からず決められた業務をこなすだけの日々だったかと思います。仕事になれてきた頃、ある入居者から「いつになったらやるんだ」と大きな声で怒られる場面がありました。洗い物をしながら入居者と話をしていましたが、途中から話半分に聞いてしまい頼まれ事を聞き逃していたのが原因でした。そこから1週間口を聞いてもらえない状況が続きましたが、ある日の夜勤中に訪室すると「あんたは丁寧だし優しくしてくれていい人なのは分かっている。だけど、話を聞いて欲しいのに聞いているふりや頼み事を待たせるのはダメだ。」と話されていました。当時の事は今でも鮮明に覚えています。この失敗をきっかけに私自身「手をとめて話を聞く・待たせない」という事を大切にしています。
特別養護老人ホームと聞くと身体介護が中心とイメージされる機会が多いかと思います。私たち美瑛慈光園では、人との繋がり・地域との繋がり・社会との繋がりを大切にし、日々支援を行っています。今までの生活を継続するために、弊害になる部分が少なからずあると思いますが、家族・多職種と協力し少しでも解消できるように取り組んでいます。また、生活背景や社会情勢・職員など多様性が求められている現在、ユニットケアの考え方を根底に置き、入居者の想いを実現するために変化を取り組みながら、これからも入居者と一緒に歩んでいきたいと考えています。