コロナ禍におけるレクリエーション実施に向けた取り組み(特別養護老人ホームみなみ風 田中 敦子)

2021年8月2日 更新

昨年からのコロナウィルス感染拡大により、みなみ風においても、施設内にウィルスを持ち込まないために感染対策を取りながら、ご利用者の以前と変わらない暮らしの継続に向けた支援を行ってきました。

しかし、感染対策の中でも、ご家族の面会や行事の中止、近隣でのお買い物の制限は、ご利用者の楽しみをなくしてしまうだけではなく、社会参加の機会がなくなってしまうことにもなると考えられました。実際、感染対策が取られるようになった当初は、ご家族に会えない寂しさからか、精神的に落ち着かない様子が見られるようになったご利用者もおられました。これらの状況をふまえ、レクリエーション委員会として多職種が連携し、『今、私達にできること』について考え、ユニットを出て参加してもらえるようなアイデアを出し合いました。実施するにあたり、当初はコロナウィルスに対する不安や心配がありましたが、職員が正しい知識を身に着け、しっかりとした感染対策をとることで、むやみに怖がる必要はないということがわかってからは、準備もスムーズに進むようになりました。

委員会として計画・実施したのは、お茶会、秋祭り、クリスマス会です。みなみ風の特養は8ユニットありますが、お茶会はひと月に1ユニットずつの実施とし、お茶会、クリスマス会と合わせると、ほぼ毎月、企画を行えるようにしました。どの企画も実施する際は、手洗い・うがい、体温測定、換気の他に、3密を避けるための移動方法や、参加時の人数調整をしっかり行いながら、会場設定や雰囲気づくりに力を入れました。ご利用者もおしゃれをして参加して下さり、毎回、楽しそうなご利用者の姿と、そこに寄り添う職員にもたくさんの笑顔がありました。

今後も更なる感染症の拡大があることが予測され、私達はそのたびに生活様式を変化させながら生きていかざるを得ません。介護施設に従事するものとしては、変化を受け入れることを厭わず、その時々で行えることを冷静に判断しながら、ご利用者の支えとなることが求められてきます。この機会をより良い経験とし、今後も柔軟な姿勢をもってご利用者に関わっていけるよう努めていきたいと思います。

ユニットケアは気持ちよく仕事ができる(特別養護老人ホームみなみ風 石井 政裕)

2021年8月2日 更新

著者ユニットリーダー 石井 政裕   (社会福祉法人プレマ会 特別養護老人ホームみなみ風)

私は介護職をして10年以上になるのですが、最初の介護のイメージは決まった時間に決まったことをしていくといったものでした。しかし、実際にやってみると入居者の気持ちが伝わり、こちらの都合でどうこうしようとすると自分自身が嫌な気持ちになっていきました。

様々な人の教えもありユニットケアを少しずつ理解していくことでその人が起きたい、お茶を飲みたい、部屋で過ごしたといった気持ちに合わせた支援が出来るようになっていきました。そうすると自分自身の気持ちも晴れてきて「いいもんだなあ」とやる気が出てくるのを感じました。

10名前後の入居者と固定した職員が同じユニットで過ごすわけですから、内面的な部分を理解しやすく何をしたいか、何をしたくないのかが少しの表情や仕草で感じ取れる関係を築けると思います。そうした中でその人が望む生活が見えてきて自分たちに出来ることも分かってきます。その人が望んでいることが分かり、その支援ができると入居者も職員も自然と和やかになり、過ごしやすい空間ができてきます。

「この人はこうしたいんだよなあ」「この人はこれが好きなんだよなあ」と思いながら支援をすると気分が良いもので、ユニットケアは、職員をそういった気持ちにさせてくれるものだと感じています。

コロナ禍で見い出せた価値(特別養護老人ホーム美里ヒルズ 世古口 正臣)

2021年8月2日 更新施設長

2020年1月15日、日本における新型コロナウイルス感染症の第1例目が確認されたのを機に、その後入居者の皆さんをはじめ、私達の生活は一変、2月25日からは、ご家族の面会制限、それ以降の研修やイベント等がすべて中止や延期になり、何もできないまま、いつまで続くのかわからない不安と戦う毎日でした。

それでも、3月に入ると就職説明会がオンラインで開催されることになったのを機に、施設としても感染対策を徹底することだけでなく、入居者の暮らしを少しでも維持できるよう、対策しながら形を変えて続けることができるか、新たにチャレンジできそうなことはないか、並行して検討していくことになりました。

その後、4月3日からオンライン面会・窓越し面会を施設でスタートさせたり、施設内研修を事前録画のオンデマンド研修に切り替えたり、法人の会議もリモートで開催したりと、少しずつではありましたが、コロナ禍でもできることから始めてまいりました。オンライン面会を実際にやってみて気がついたことは、今まで遠方にお住まいでなかなか会えずにいたご家族とも、気軽にコミュニケーションがとれる機会になったことです。つまり、これまで通りの面会が可能になったとしても、遠方や国外に居住しているご家族とは会えないのは変わりませんが、オンラインなら気軽につながることができる。これは、コロナ禍で生まれた素晴らしい変化だと思います。

8月頃には社外の会議はリモートで参加、外部研修もオンラインで参加できるものが増えるにつれ、夕方から夜にかけてのオンラインの勉強会の案内が急激に増えてきたように感じました。私自身は三重県の住まいでありますので、それまで都市部で開催される有名講師の研修会等があっても、そう頻繁に参加することはできませんでした。また、社外の会議に出席するためだけの出張が増えてくると、移動時間が増えるとともに現場を離れる時間も増えてしまうことを危惧していました。このコロナ禍では、会議も研修もオンラインでの参加が当たり前になりました。そのおかげで、様々な学びの機会が身近になったこと、そして移動時間のロスが無くなったことは、非常にありがたい変化です。

12月に入ると、施設ではリモートショッピングが始まりました。買い物に出掛けた先の職員のスマートフォンと施設のタブレットを中継で繋ぎ、ユニットにいらっしゃる入居者さんが商品を見て選んで買い物ができるという取り組みです。今では恒例行事になり、月に2度は洋菓子店と和菓子店にご協力いただき、リモートショッピングが開催されています。これまで買い物といえば、出掛けたい意向のある入居者さんへの個別の支援でしかなかったのですが、こういった機会が新たにできたことで、出掛けるのは疲れるから嫌だけど買い物はしたいという方のご意向にも添えることができるようになりました。

1月には、リモート初詣が企画されました。リモートショッピングの要領で、施設の地元の神社へ参拝に行った職員と施設をつなぎ、さらにプロジェクターで大型スクリーンに映して皆さんで参拝の様子を楽しみました。地元の神社というのは、本堂まで約170段の階段を登って参拝する難所、これまでは実際にお出掛けしても、階段の下の鳥居の前で参拝して帰るのが恒例でした。これがリモートになり、毎年お出掛けしていた入居者の皆さんであっても、階段を登って本堂で参拝する光景を目にしたのは何十年かぶりでした。また別の日には、お七夜さんという地元の大きなお寺のお参りにリモートで参加していただきました。こちらも初詣と同様、本堂の中に入るには急な階段や高い段差もあり、外から中の様子をうかがって皆でお参りするのが毎年の恒例でしたが、今回は皆さんに本堂の中の様子をご覧いただき、懐かしむ声をお聞きすることができました。また、入居者の皆さんからはお寺の庭園の様子を見たい、納骨堂まで行ってほしい、お寺の周りの町並みも見たいとたくさんリクエストがあり、今まで出掛けたとしても中に入るのを諦めていた皆さんや、出掛けるのをためらっていらっしゃった方にとって、これまでにない機会となりました。

これまでの約1年半、コロナ禍においては我慢ばかりの生活で、皆が息苦しい毎日を過ごしてきました。そんな中、きっかけは感染対策のひと工夫だったけれど、実際にやってみるとコロナ禍だけの取り組みで終わらせるには勿体ない、むしろコロナ前からあって然るべきだったなと思えることが多くありました。

コロナで多くの失ったものに対して目が向きがちでしたが、一方では価値ある気づきがたくさんありました。そういう風に考えることができるようになったことで、またいろんなアイデアが浮かんできます。もちろん、うまくいかないこともありますが、何事もトライアンドエラー、とりあえすやってみよう精神でこれからも頑張っていこうと思います。

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