「ユニットケアに出会って」(社会福祉法人梨雲福祉会 特別養護老人ホーム梨雲苑 副施設長 朝野 真紀子)
2019年4月1日 更新
私は居宅ケアマネジャーとして勤務していた時に、利用者が自宅から介護施設に入居されて支援が終了するという経験を何度もしました。居宅ケアマネジャーの役割は、「介護が必要な状態になっても住み慣れた地域で安心して暮らせるように支援すること」であり、施設に入居されればその時点で本人やご家族とのつながりは無くなり、私にとってその方は「施設の人」になってしまった…という気持ちでいました。
しかし昨年、特養で勤務することになりユニットケアに携わったことで、施設は「もうひとつの我が家」であり、そこでは「暮らしの継続」が実現できていることを知りました。居宅ケアマネジャーにとっては支援終了だったことが、その方にとっては新たな居場所づくりの始まりであり、施設にとっては暮らしの継続の支援の始まりであることが何とも言えず嬉しいような誇らしいような気持ちになったことを覚えています。
ほとんどの人は自宅での生活・介護を望んでいながらも、様々な事情から最後の選択肢として施設に入居することが多いのが現状だと思います。そんな状況であってもユニットケア施設とその理念が一筋の光となって新たな暮らしを照らすことができ、そんな施設が身近にあると知ることで、在宅生活を継続する上でも大きな道標になっていけるのではないかと感じています。
「日々の言動力に」(社会福祉法人梨雲福祉会 特別養護老人ホーム梨雲苑 主任・フロアーリーダー 竹内 七々恵)
2019年4月1日 更新
自施設では、ユニットケアの理解を深めるため、ユニットリーダー研修の受講を重ねています。私も研修に参加した一人です。
私がユニットリーダー研修に参加したのは9年前のユニットリーダーになったばかりの頃でした。ユニットケアについての理解が浅く、「ユニットケアとは?」「マンツーマン入浴は何が良いのか?」「ユニットで炊飯するのは何のためか?」など、理由を聞かれた時に、どう答えれば良いか、自信がありませんでした。
ユニットリーダー研修では、ユニットケアにおける理念“暮らしの継続“の大切さ、24時間の暮らしを見つめることの大切さを学ぶことができ、また、24Hシートを活用することで、その人の暮らしを知ることの大切さを学び、個別にケアすることの根拠を深く理解することができました。
研修参加後には、「ユニット職員にこうやって伝えればいいのだ。」と言い切れる自分が居ました。確実に研修前よりも自信を持つことができました。また、自施設の課題がはっきりと分かり「やらなければ。」と気合が入りました。
現在も課題はあり、悩んだときには研修を振り返り、目指すべき方向性を確認しています。
ユニットリーダー研修は、ユニットケアの学びを深めさせてくれると同時に、自分自身に自信とやる気を与えてくれました。私にとって日々の原動力となっています。
「鶏が先か、卵が先か」(社会福祉法人綿半野原積善会 特別養護老人ホームかざこしの里 施設長 仲村 茂樹)
2019年4月1日 更新
平成12年(18年前)に介護保険法が施行され、新たなユニット型特養が国に認知されました。(入居前から継続する暮らしと、入居者一人ひとりにあわせた個別ケアを大切にする)ユニット型特養は何ができるのだろうか、(国、地方も含め)それぞれの特養がその可能性を追求した期間であったろうと思います。
かざこしの里は介護保険制度が始まった5年後に開設し、この14年間、ユニット型特養だからできる支援を模索しながら歩んできましたが、その歩みには、日本ユニットケア推進センターとの出会いがとても大きかったと考えています。ユニットケアの理念に基づいた体系的な理論を学び、研修を繰り返すことにより「あなたらしく暮らせるところあなたと共に創ります」という施設理念を具体化し、かざこしの里らしい、地域のみなさんに選んでもらえる特徴ある施設になってきたと思っています。
介護業界の人手不足が年々深刻になってきており、職員の不足をタイムリーに補充することが難しい状況が続いています。地域から選ばれる施設であると共に介護を目指す者からも選ばれる施設である必要があります。「ユニットケアの理論」に則ったケア(支援)を大切にし、「理念」に基づいた入居者の暮らしを中心においた、(ルーティン業務に陥らない)職員が誇りの持てるケアを目指すことが職員採用にあたっても大きなメリットになっていると感じています。「鶏(職員採用)が先か、卵が先か」という言葉がありますが、まずは、ユニットケアの理論に基づいた実践を行うことが必ず職員採用にも良い影響を与えるものと思っています。