施設に暮らす全ての人に「当たり前の暮らし」を(特別養護老人ホームくぬぎ苑 山下 愛)
2020年8月3日 更新
ユニットケアの理念は暮らしの継続です。たとえ施設に入居したとしても、可能な限り自宅に近い環境でその方らしい暮らしを送っていただきます。
くぬぎ苑では、きれい好きな104歳の入居者が掃除を手伝ってくれています。また、ある入居者は「薄い肉じゃなくて、塊の肉が食べたい」と希望され、次の日にレストランへ行き、150gのステーキと生ビールを注文されました。その時の満面の笑みは今でも忘れません。このようなことは、私たちにとっては当たり前の日常です。
しかし、施設に入居したお年寄りはある日突然、当たり前の日常が一変してしまうのです。本来住む場所が変わっただけのはずが、暮らしぶりまでが変わってしまうのです。
ユニットケアは、「当たり前の暮らし」を守ることができます。それは、施設でのこれからの望む暮らしをしっかりとアセスメントし、24時間シートにおとしこむことで、入居者・家族のニーズに応じたケアを実践することができるからです。ユニットケアこそが、一人ひとりをみていくケアを実践する最適な介護の手法であると言えます。
施設が暮らしの場であり続ける為には、「暮らしの継続」のもと、法人理念を念頭に置き、ユニットケアの4つのポイントをおさえながら、職員全員が共通の方向に向かって進んでいかねばなりません。
これからユニットケアに取り組もうと思っている皆さん、どんな些細なことでも構いません、小さなことから、出来ることから、少しずつ取り組んでみてください!
ユニットケア「ここで暮らして良かった」(特別養護老人ホーム花巻あすかの杜 阿部 千春)
2020年8月3日 更新
私は、これまでたくさんの入居者様を見送ってきました。その中で老衰により徐々に枯れるように亡くなる方、急変して突然のお別れが訪れる方、入院となり最後は施設で看取ることなくお別れとなる方もあります。ユニットケアで看取りの際の「チームケアの連携」について、普段から最後はどのように迎えたいのかという話をしていることが大切だと思っています。
昨年亡くなられた大きな農家へ嫁いだという方の例ですが、施設に入居して一度もご自宅へは帰ったことのない方が亡くなる3日前に「家に帰りたい」と呟きました。お身体は大分弱っていますので心配な面はありましたが、入居者様の最後の希望をかなえてやろうとスタッフで話し合いました。そこからは他部署との連携で翌日にはご自宅へ向かうことになりました。ご自宅では愛犬の出迎えを耳で感じ、大農家である野菜の収穫を目と匂いで感じ、自分が居た頃のままの自宅を見て安心し最高の笑顔をご家族に見せていました。
お世話していた方との別れは辛いですが、看取りの後は他部署を入れた振り返りをしっかりと行なっています。そのことで「もっとこうすれば良かった」というスタッフの次へのステップになります。小さな呟きも形にしていくことの大切さを学べると思っています。
入居者様の思い、ご家族の思いを、これまでの関係性を大切にした支援、日頃の暮らしの先に最後までどう生きるか、どう過ごすか「生きる力」を支えるのが私たちの役割と思っています。
“ユニットケアの魅力を自分の言葉で伝えること”(特別養護老人ホームくぬぎ苑 松尾 和代)
2020年8月3日 更新
くぬぎ苑に入職する前は、山口県にある子供病院内の肢体不自由児入所園に勤めていました。従来型一律一斉ケアで、そのようなケアが当たり前だと思っており、何の疑問も持たずに、日々、業務をこなしていました。
くぬぎ苑に入職し、ユニットケアとはじめて出会い、7年が過ぎた2019年、ユニットリーダー研修を受講させていただきました。
3日間の座学では、日々、気付きや学びが多く、受講生の方々との情報交換は新鮮で、「皆さん、それぞれ同じような悩みを持っているんだ、自分だけではないんだ。」と思い、勇気と元気を与えてくれました。さらに、「ユニットケアとは?」を再確認でき、あらためてユニットケアの魅力を理解することができました。介護の仕ことをするうえで、この研修が私にとってのこれからの大切な道標となりました。
指導者・講師の方々は、テキストだけの進行ではなく実際に困っていることや、ユニットケアができない等の意見に対して、こと例や実体験を交え、「はじめから上手くいかないことの方が多いかもしれませんね!小さなことでも良いので、できることから始めましょう」と、分かりやすく丁寧に伝えてくれました。
私は、ユニットリーダー研修で学んだことを踏まえ、ユニットリーダー研修生や、高校等の実習生が実地研修に来られた際は、少しでもユニットケアの魅力を自分の言葉で伝え、同じ思いを持つ仲間を一人でも多くつくっていきたいと思います。