「介護福祉士としてのプライドの目覚め」(特別養護老人ホームしろみ 森 美鈴)
2019年8月1日 更新
私の施設は、13年前にユニット型施設として開設したものの、ケア自体は従来型と変わりませんでした。起床は、食事に合わせて一斉に起こし、入浴は、誘導係、脱衣係、洗身係を配置し大浴場での一斉入浴、排泄は時間を決めて、おむつカートを押しての一斉交換など入居者の意向を確認することなく、施設が決めた日課で1日が流れていました。
そのような中で、ユニットリーダー研修に参加する職員が増えていくことで、「このままではいけない」とケアの見直しが始まりました。リーダー研修に参加したことが無かった私は『個別ケアが大事』との説明で指示される通りに従うだけで、“やらされ感”を強く感じていました。私が入職した頃は“業務を早く終わらせる、さばける職員が仕事のできる職員”と思われていたため、ユニットケアへ変えていくことで効率の悪さを感じることもありました。
しかし、自分自身がユニットリーダー研修に参加させていただき、ユニットケアの理念や特徴を学び、また、実際に実地研修施設を見学させていただいたことで自施設の入居者と実地研修施設の入居者の方たちの表情が全く違うことに驚きました。実地研修施設の、ある入居者に「自分の部屋を見て」と言われ、趣味の釣り道具などのコレクションを見せてくださいました。その時に、「これが自分の家なんだ」と実感し、入居者の方がそれぞれ好きなように過ごされている姿を見てとても驚きました。
自施設の入居者が、今のような環境で最期まで生活していただいていいのだろうか、と悩み考えた結果、介護福祉士としてのプライドが許さないものを感じ、気持ちを入れ替えた瞬間でした。ユニットリーダー研修に参加し、ユニットケアを学んだことで、自分のケア、仕事に自信をもてるようになりました。現在は、約10年前に私が見ていた入居者の表情と比べると、幸せそうな笑顔が増えたことを大いに実感しています。