人とのつながりの大切さ(特別養護老人ホーム梨雲苑 道島雅子)

2021年12月1日 更新

著者施設介護支援専門員 道島 雅子   (社会福祉法人梨雲福祉会 特別養護老人ホーム梨雲苑)

私は3年前に介護支援専門員として特養に異動となり、そこでユニットケアを知りました。特養もユニットケアも初めてで、他の職員や入居者様からたくさんのことを教えていただきながら日々過ごしています。私は毎朝、受け持ちユニットを周り、入居者様に声を掛け、顔を見るようにしています。声かけに対する返答や様子で「今日は元気だな」「今日は眠いのかな」等感じ取ることができます。ニコッと笑顔が返ってきた時は本当に嬉しくなります。
 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、当施設でも一時面会を中止していました。その間に、急速に認知症状が進行したり、元気がなくなったりする方がおられたのも事実です。入居者様が不安にならないよう、今までと変わらない生活を継続できるよう職員も日々関わっていましたが、力及ばず、ご家族の存在の大きさや、つながりの大切さを実感しました。
 今は感染症対策のもと、制限はありますが面会を再開しています。県外のご家族にも来ていただけるようになり「近況を聞いたり写真を拝見したりしていましたが、直接顔をみることができて本当に嬉しかったです」と喜ばれる反面、1年以上会えなかった間のご様子の変化にショックを受けた、ともおっしゃられていました。ビデオ通話での面会も行っていますが、同じ空間で共に過ごすことは、互いの安心感につながるのだと感じました。
 当施設のある地域は感染者数の減少が続いていることもあり、短時間でも入居者様とご家族が共に過ごすことができないか行事を企画検討しており、今回はクリスマス会を企画しています。ご家族を招待する行事は1年以上開催できなかったので、そばに寄り添い過ごす時間を皆様に楽しんでいただけたら、と思っています。
 今後感染症がどのように変移していくのか未知の部分が大きいですが、その時々の情勢に合わせ、制限するだけでなく、どうすれば今までと同じような活動を継続できるか、ということを多職種で意見を出し合いながら模索していきたいと思います。そこにはご家族の存在は必要不可欠だと考えています。そして「抱きしめたい」「一緒にご飯を食べに行きたい」というご家族との当たり前な日常に戻ることを願っています。

今できる「ふつう」のことを!(特別養護老人ホーム素心苑 小森理紗)

2021年12月1日 更新

「これからどのように入居者と関わっていけば・・・」と、コロナウィルス感染対策の通知を受けた時、壁に突き当たったことを忘れません。
 喫茶店やサークル活動、買い物やドライブはもちろん、最も入居者へ生きる力を与えてくださる家族との交流が絶たれてしまいました。また、職員と入居者が「一緒に食べる」という「ふつう」のことが、「マスク着用とディスタンス」を余儀なくされることが「ふつう」となり、その関わり方に戸惑い悩みました。
 このことをきっかけに全職員が「食べる」ことの大切さ、楽しみ方を改めて考える機会となりました。交流が困難だったらユニット単位で食べたいものを皆で作り食べること、外食のテイクアウトを活用すること等、今までにないことがかえってとても新鮮なものとなりました。
 家族とはリモート面会や電話、写真や手紙の送付等をして入居者の様子を伝えています。これから先、どのような状況になろうとも、今できる「ふつう」のことを、今できる方法で行いたいと考えています。また、私自身「食べる」ことを通じて「暮らしを豊かにする」ひとりの人として、これからも関わりを大切にしていきたいと思います。

コロナ禍での看取りによせて(特別養護老人ホーム素心苑 三浦宮子)

2021年12月1日 更新

著者看護師リーダー 三浦 宮子   (社会福祉法人素心の会 特別養護老人ホーム素心苑)

コロナ禍の中で、実母が令和3年1月初旬に某施設で静かに天国へ旅立ちました。母は常日頃からお世話になっている施設での最期を迎えたいと希望していましたが、私が母と最後に会ったのは昨年の春頃だったと思います。7月に帯状疱疹を患い食欲が低下してきて、雪が降る頃には、いよいよ食を受け付けないとの連絡を頂いて死期が近いことを感じました。コロナ感染対策で面会制限はどこの施設でも必至でした。マスコミや行政指導情報を敏感に受け止めながら、職員研修指導を行い、外部との接触は最小限に留めて、ハラハラドキドキの日々でした。母の葬儀は三密を避けて、県外の子供や孫たちは、直接のお別れが出来なくて心の中は悲しさや寂しさが溢れていたのではないでしょうか。
 当苑でも、通常であれば家族の面会や宿泊など、入居者に合わせた看取りの対応を行ってきました。家族が持参してくださる入居者が好んで食べていたという食べ物や、懐かしい食材をゼリー状にしたり、とろみやミキサー食に変えたりと、わずかではありますが一口でも食べていただけるように工夫をしています。また、寂しくないようにと顔なじみの職員も何度も声をかけに訪れます。多職種とのカンファレンスを重ねながら、入居者が好きな音楽を流し、旅立つ数日前でも入浴やトイレでの排泄支援も行っています。
 つい、この前旅立たれたAさんは、当日の夕食は大好きな名物馬肉の缶詰や煮卵を少し召し上がり、遠くに住む息子・娘・孫さんとリモート面会で手を振られて会話までされました。安心されたのかその日の夜に静かに95歳の天寿を全うされました。最期に父として祖父としての威厳を保たれたのではないでしょうか。私の母もお世話になった施設に感謝しながらの旅立ちだったと思います。形は違えども、それぞれの願いが叶えられて安らかな旅立ちができるように、ひとり一人の心に寄り添った支援や看護が出来ればと思っています。

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