切磋琢磨を続け、暮らしを支えていく(介護老人保健施設きのこ老人保健施設 中井 澄子)
2020年11月4日 更新
きのこ老人保健施設では、ユニットケアを始めた頃より毎年、事例報告会として取り組んだ内容を各ユニットが1題ずつ発表する場があります。毎回、他ユニットの取り組みを見て、「そういうアプローチの仕方があるのか。」「あの方はあんな一面があるんだ。」「うちのユニットに同じように感じている方がいるから試してみよう。」とお互いに色々な刺激を受け、自分達の行っているケアが間違っていないか確認する場にもなっています。入居者の方がその人らしく暮らしていくにはどうしたら良いかという事を切磋琢磨しながら考え続けています。
必ず答えが出て、良い結果になるものばかりではありません。失敗する事もたくさんありますが、「ほら上手くいかなかった。」と思うのではなく、「それなら、次はどうしていこうか。」とユニットの皆で考えていく事が大切だと感じています。
今年の事例報告会も一人の方と向き合い、一人の方の思いを汲み取る発表、その方とスタッフとの思いの中で葛藤した発表等、どのユニットも試行錯誤した事を発表してくれました。悩んで、苦しんだ分だけユニットスタッフの結束も強くなっていきます。「その人らしく暮らしていく」事をユニットスタッフ中心に多職種がそれぞれの専門性を発揮して、きのこ老健全体で支えていきたいと思っています。
「百歳はミラクルパワー」(特別養護老人ホーム白駒の森 牛山 祐加) 「季節を感じて」(特別養護老人ホーム白駒の森 山崎 幸)
2020年11月4日 更新
エピソードその1
「百歳はミラクルパワー」(リーダー 牛山 祐加)
信州も今年の夏は暑い日が続きました。高齢者も職員も熱中症には細心の注意を払いました。
7月のある日の早朝、百歳のAさんが脳梗塞を発症、もともと水分も食事も好んで召し上がる方ではなく介助にも苦慮しておりました。ご家族は「環境が変わることでのストレスよりもこの施設で最期を迎えさせたい」とのお考えでした。左マヒ、構音障害が残り、1か月以内に大きな梗塞が起きると回復は難しいと医者いわれ、必死で体調の変化を見逃さないように観察、ケアをしました。私のユニットには食事介助の方が6名います。Aさんは認知力も低下しており、食事介助も咽が多く、食べる端から食事を吐き出していました。ご家族は東京在住。何とか食べてほしい、どういうものなら食べられる? 葛藤の毎日でした。
9月に入り徐々に言葉が分かるようになり、コミュニケーションができるようになりました。正直、耳を疑いました。それだけではなく、仲良しのお隣さんが「ちょっと、見てあげて!」の声に振り向くと、ご自分で食事をスプーンで召し上がっていました。ユニットのスタッフは喜びと感動で興奮が収まらない1日でした。
左手も不自由はあるもののお隣の食事を手づかみで食べるなどが出来るようになっていました。これも少人数、固定配置のユニットケアだからできることだったと思います。
エピソードその2
「季節を感じて」(ユニットスタッフ 山崎 幸)
春は外にお花見に出かけ、夏は中庭に竹を組み流しそうめん、秋は炭火でサンマを焼いて食べたり柿を剝いて干し柿を作ったり、冬は鍋を囲んで食べたり、季節を感じながら過ごす時間が、笑顔も沢山みられ私は好きです。入居者との穏やかな時間を大切にしていきたいです。今日も干し柿をつるすお手伝いをします。
ユニットケア研修は自分の囚われた心を開放する研修(特別養護老人ホームジャルダン・リラ 佐々木 登己治)
2020年10月1日 更新
私が数年前にユニットケア実地研修に行き感動したことは、綺麗なハードやしつらえではありません。今までの従来型の施設を、知恵と工夫でユニットケアが出来るよう環境を整え、入居者の暮らしに寄り添いたいと思う職員の入居者への思い、そして施設の方針に感動し、今までの自分の概念が変わりました。
ユニットケアの研修は1つのきっかけでありスタートです。燃え上って帰って来たものの、時間が経つと、火が消えてしまう職員も多く見られました。もちろん施設としてのバックアップは必要ですが、与えられてばかりのユニットケアに何も成長も感動もないし、継続性もありません。自分達で気づき、考え、行動を起こし、はじめて自分達のものとなるように思います。100人いたら100通りの方法、リラに来て感動して帰る研修生には「リラと同じことをしようとしても条件も違い、難しく挫折してしまいます。自分の施設で出来る1歩から始めてまずは仲間を作りユニットケアの火を起こすことを始めたらいいと思います。」と伝えます。ユニットケアを通じてお互いに学び合い、深めて行くその為には同じ志を持った仲間が必要です。全国の仲間たちと共に推進して行けることがまた強みだと思います。
このコロナ禍で入居者を密に見つめる時間が増えたように感じます。ユニットケアの原点に戻り、私達はこの研修を通じて出会った仲間と共にこれから先も入居者の暮らしを支える先駆者になりたいです