通知表(特別養護老人ホームあすなろ 高橋 知世子)

2020年6月1日 更新施設長

平成16年4月に「おれの入りたいと思える施設を作る」と初代理事長が開設し、平成20年に亡くなるまでは、試行錯誤しながらも自由に楽しく暮らしていたように感じます。いつの間にかユニットのリビングで新聞を読み「ここは、みんな着替えてからご飯食べるんだな、おれは寝間着で食べられるが、Aさん(職員)は着替えてからご飯食べるのか?」と職員が聞かれ「着替えは出かける前です。」と答えると「じゃあ、BさんやCさん(入居者)はどうなんだろうな」と、ユニットケアの考え方を示してくれる方でした。

「施設は施設長以上のものにならない」とユニットケアの研修で聞いたとき、初代理事長の思っていた施設とかけ離れていた現状に悩んでいた私がもっとユニットケアを理解して示していかないと、初代理事長の想いに答えられないと、職員とともに、入居者が満足する施設を目指してきました。

先日、元校長先生をしておりました入居者様に、「あすなろの良いところ、ここが自慢って何だと思いますか?」と職員が聞いたところ「1、平屋で自由に動ける。2、自然環境に恵まれている。3、室(ユニット)内のコミュニケーションが良い。4、お互いの心が大事にされている。5、心豊かな職員が多い。信頼関係が強い。6、自分の生活習慣が守られている。」と書いて渡してくれました。ありがたい私たちへの通知表です。

 

(我が家の見張り番)

自然豊かな緑に囲まれた我が家の道路の向かいにある雑木林(理事長の私有地)には、春の味覚「山菜」が豊富です。たらの芽、こしあぶら、こごみ、ぜんまい、わらび等、宝の山です。ユニットのリビングから見えるところにたらの芽が見えます。「理事長がごちそうしてくれるから、お花見弁当に入れようね。」とみんなで楽しみにしていました。道路から見えるところにあるので、私有地と言うものの、勝手に取られていることも多く、見えない敵との戦いです。みんなで食べる分を確保するため、立て看板を設置したり、いつが採り頃か散歩がてらパトロールしたりと余念がありません。

ある日出勤すると、「今朝早くに、自転車停まってだっけ、赤シャツの男だった。たらの芽採られでねが?」と入居者に声をかけられました。「え!だめだ、お花見までちょっとあるけど、良さそうなの採っておかないと、なくなるね。次、怪しい人見たら、『何してだ』っておっきい声出していいからね。」と、お願いしました。その甲斐あって、たくさんたらの芽が採れたので、山菜の天ぷら入りのお花見弁当を楽しむことができました。「うめなー、自分で採りに行きでけど、採ってらの見てだから採ったようなもんだ。次はわらびだな!」まだまだ、見張りは続きます。わらびは一緒に採りに行きましょう。

「自分が入りたいと思える施設とは?」(特別養護老人ホーム眺峰園 足立真美)

2019年11月1日 更新施設長

誰もがいずれ高齢者となり、介護が必要となる時が訪れます。住み慣れた住まいでケアを受けながら生活出来ればと思いますが、現実は厳しい状況なのかも知れません。

介護度が重くなり「在宅介護が出来なければ特養での生活になるのでは」と考えた時に、何を基準に施設を選ぶのかと聞かれれば、それまでの生活のペースがある程度保たれ、プライバシーの確保が出来、体調を気遣う家族のような職員に囲まれる等の環境が整っている施設に入りたいと誰もが思うのではないでしょうか。もちろん、費用面も重要なファクターの一つであると思います。

自分自身が特にわがままとは思いませんし、こだわりは多少あるのかとは思いますが、高齢者となる将来に自身が持つ個性をそのまま維持することが出来ればと思います。

介護を必要とする高齢者の個性を尊重し、その人に寄り添ったケアを提供してくれる介護手法がユニットケアであり、自分の住まいと思える施設での生活をユニットケアが実現してくれるのではないでしょうか。そこには「暮らしの継続」を目指す職員が入居者の生活のペースを基に、なじみの関係でサポートしていくことや、在宅での暮らしと同様な自己決定や自己選択が可能であることも重要な部分です。

職員が安心して働くことが出来る環境を備えつつ、毎日の暮らしの中で気配り・気遣いにより入居者に満足してもらえる施設は、自分自身が入居しても良いと思える施設であると思いますので、今後もユニットケアが介護のスタンダードとなるように、ユニットケアをより進めていきたいと思います。

「私が思うこと」(特別養護老人ホーム一重の里  伊藤真由美)

2019年9月2日 更新施設長

医療の現場から福祉の現場に飛び込んで20年。入職当初は看護と介護の考え方の違いが大きく「ここは病院じゃない」と何度言われたことでしょう。戸惑いが多かったことを覚えています。

先日、日本赤十字看護大学名誉教授で看護学者の川嶋みどり先生の講演「看護の過去、現在から未来」を聴く機会がありました。米寿を迎えられた川嶋先生が、「利用者の暮らしの尊厳を守り、安楽であることが大切、その看護を実践できる場所が今は施設になっているのかもしれない」「施設でこそ看護ができる。今こそ看護の実践施設で」と力強くおっしゃっていました。

現在の介護施設では医療依存度の高い方の支援や看取りの介護が当たり前になっています。かゆいところに手の届くユニットケアは個別ケアを実践するためのツールであり、ちょっとした気づきと気遣いこそが、心地よい、穏やかな生活を、そしてその先は自然な笑顔になると実感しています。そんな介護をできるユニットケアは素晴らしいし、介護・福祉の原点なのだと思います。

介護・福祉の専門職である私たちが、そこでお暮しの方に、普通のことが普通に、何気ない日常を気兼ねせずに支援を受け取ることができるような、そしてその中で職員が人生を学んでいける施設運営をしていきたいと思います。

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