「自分たちが入りたい施設を創る」(特別養護老人ホーム灯光園 八木 麻里)
2022年10月3日 更新
6月、施設長になって初めてユニットリーダー研修実地研修生を受け入れました。施設長、受け入れ担当者も替わり、何もかもが初めてなので、できていること・できていないことを確認できる絶好の機会です。「来ていただいて、本当にありがとうございます!」職員や理事の方々にも、「来てくれるよ!」興奮して報告しました。
ユニットケアには暮らしの継続という理念があります。これから取り組む実習生さん達は、「自分の施設と全く違う」と驚いたとのことでしたが、ユニットケアしか経験がない私はそのことに驚きました。灯光園は平成13年から移転を機にユニットケアを勉強し始めています。みんなで話し合いながら一歩一歩進めていった記録が残されており、当時の職員達の思いが詰まっている分厚いファイルは3冊にもなりました。実地研修施設となった時に、「ユニットケアに思う」という職員の一文があります。
『・・・そして、「施設」のイメージが変わった。介護保険が始まり、入居する施設を自由に選ぶ時代。もしも介護が必要な身になったら・・・真っ先に思うのは、「子供たちに迷惑をかけたくない」ということだ。施設に入居させてもらって、他人様にお世話になる(お金で割り切れる)生活の方がいっそ気楽かもしれない。さて、実際にそうなった時、果たして今の灯光園に入りたいと思うだろうか。答えは「YES」だ。朝は、「時間だから」と起こして欲しくない。朝食はパンとコーヒーがあればいい。たまには喫茶店でおいしいコーヒーを飲んだり、レストランでランチもしたい。・・・こんなわがままを聞いてくれそうじゃないですか、灯光園なら。」
どれだけその人の“暮らし”を大事にできるか、私たちが今、創っていかなければならない・・・その重みを感じている。』
あの頃、ユニットケアを創り上げた職員達は、地域で灯光園を見守ってくれています。パート職員として支えてくれている人もいます。私たちは、自分がされて嫌なことは人にもしない、自分が入りたいと思う施設を作る、この志を引き継いでいかなければなりません。
ユニットケア・個別ケアの魅力(特別養護老人ホーム四條畷荘 辻宅一博)
2021年11月2日 更新
私は、高齢者施設で勤務して40年になりますが、相談員としての勤務が主でしたので介護の経験は全くありません。そんな中で従来型特養も経験してきましたが、四條畷荘でのユニットケアの取り組み、ユニットリーダー研修実地研修施設への取り組みを通して、ユニットケア・個別ケアの魅力に取りつかれてしまいました。
これまでの従来型特養では、いかに効率的に業務をこなして行くかに主眼が置かれていましたが、ユニットケアの特養では業務優先ではなく、入居者個人の想いに寄り添う入居者優先のケアが実践されています。私はそこに大きな感動を覚えました。このユニットケアとの出会いは私の高齢者施設への考え方を一変させることになりました。
私の所属する法人は大きく、大阪府下にたくさんの施設を持っています。必然的に「異動」があります。6年前には、ユニットケアを実践している四條畷荘を離れ、従来型特養に異動になりました。
そこはまさに一斉一律のケアが展開されていました。しかしその特養は「グループケア」と言う考え方による「従来型での個別ケア」に取り組み始めている前向きな施設でした。これはチャンスとばかり、四條畷荘での経験を通して、個別ケアに取り組もうという気概が沸き起こりました。理念の浸透から着手し、各グループに職員を固定配置、8時間夜勤を導入していきました。
紆余曲折はありましたが、ユニットケアや個別ケアの考え方はどんな形の施設でもやり方によっては導入・実現させることが出来る、と言う確信を持つことが出来ました。これがユニットケアに取り組んだ私の大きな財産になっています。
今、私の両親も地域密着型のユニット型特養でお世話になっています。まだまだ若い施設でユニットケアは出来ていないとのことですが、ユニットケアの良さ・考え方を少しずつでも紹介していければ・・と密かに密かに思っています。
ICTで働く環境を整える(特別養護老人ホームかざこしの里 中島 俊郎)
2021年10月1日 更新
ユニットケアが目指す「暮らしの継続のための個別ケア」を実現する上で、また慢性的な介護職員不足の中での職員確保を考える上でも、1日8時間の働く環境を整えることは大切な要素だと思います。
そんな中で、かざこしの里が取り組んでいることを少し紹介します。最初は4年前に導入したショートステイ予約管理システムです。それまでショートステイの相談員は、1件の予約に予約表、部屋割り表、送迎表の3つの帳票を作成していました。日々電話が多く、忙しい仕事なので転記ミス等の防止と業務の簡素化を考えました。このシステムは基本的に入力をするだけで、3つの帳票が出来上がります。当然自動で割りつけられた部屋の修正なども簡単にでき、且つ請求業務とも連動するようにしました。おかげで相談員の仕事は、かなり簡素化されています。
次に今取り組んでいるのが、タブレット機器を活用した時間の効率化です。タブレット機器は、ユニット内に記録できる環境を複数作ることにより、記録メモからの転記作業が無くなるなどの効率化や、タイムリーに記録することで記録の質が上がることを期待して導入しました。導入に際しての課題は、PCが苦手な人も使えるようにすることでした。そこでタブレット機器に慣れてもらい、併せて業務の効率を考えたグループウエアを独自に作りました。毎日目を通す業務連絡や委員会資料、職員個人への連絡がタブレット機器で確認できるようになりました。職員は委員会や会議にはタブレット機器だけを持って参加します。最近は機器の扱いや紙を使わない環境にも慣れ、ペーパーレスにも役立っています。
5月からタブレット機器の使用開始と同時に、グループウエアを稼動させ機器に慣れてもらい、9月からは記録方法を切り替え、12月には勤怠もこのグループウエアで管理できるようになる計画で進めています。このブログがアップされる時は、記録方法の切り替えで混乱している時期かもしれませんが、タブレット機器を使った記録システムと、グループウエアの導入で確実に働く環境と職員の意識にプラスの変化が出てくることを期待しています。そして効率化により生まれた時間を、入居者の暮らしのために使えるような意識改革も併せて考えていきたいと思います。