「職員とともに歩んだ14年 わかりやすい研修で施設改革を進めよう!」(特別養護老人ホーム神の園 齊藤裕三)
2017年7月3日 更新
神の園はユニットケアに取り組み14年になります。開設前は、まだ、全国的にもユニット型の例が少なく、従来型施設でユニットケアに取り組んでいる施設やグループホームなどに見学等に行き、開設の準備、ユニットケア導入を進めたことを覚えています。
14年の年月を経て、現在、日本ユニットケア推進センターで行われている研修は、14年間の様々な施設の実践を整理し、一つの方法論としてまとめられていて、開設当初、多くの情報に右往左往して、苦労して試行錯誤を続けたことを思えば、内容は明快で新しく開設する施設の大きな力となることは間違いありません。
お恥ずかしい話ですが、ユニット型への改築当初、半分以上の神の園の職員がユニット型への移行に強く反対していました。介護の方法も、施設のプログラムに沿って一斉介助、流れ作業的に進められていて、それこそ、やる気があり前向きに仕事に取り組みたい職員ほど、退職しやすい状況だったと言ってよいと思います。あれから14年、様々な改革を経て私たちの施設も大きく変わったと思います。見学に来た多くの学生が、神の園への就職を希望し、職員も前向きに楽しく働くことができています。これまでの14年間を振り返り、入居者の「その一人らしい暮らし」だけでなく、職員が「自分らしくいきいきと働くことができる」施設になったと実感している今日この頃です。
「『暮らしの継続』『自分の住まいと思える施設』は素晴らしい」(特別養護老人ホーム 一重の里 齋藤和男)
2017年7月3日 更新
毎週月曜日午前10時ごろ、トヨタカムリが施設の駐車場に到着する。70代半ばの男性が車を降り、施設の玄関を開け「おはようございます。」と、私たちに声をかけながら、エレベーターに乗り込んで3階東のユニットに入っていく。まるで、自分の家に入って行くようにごく自然に。行先は、奥様が入居されている居室である。そして、一晩、奥様の居室で過ごされて、翌日の午後にお帰りになる。
これは毎週繰り返される日常の風景です。奥様の居室は、ご主人が持ち込んだ奥様の使い慣れた箪笥やソファーが、ごく自然に置かれています。ご主人が施設に来られる風景は、ご夫婦が暮らしているお住いに帰ってくるような、ご主人にとってもご自分のお住まいであるような、そのような風景に見えます。
「暮らしの継続」と「自分の住まいと思える施設」を目指すユニットケアは、このような素敵なご夫婦の姿を垣間見ることが出来ます。
「『70人70様の暮らし』に学んだこと」(介護老人福祉施設 花友にしこうじ 濱口洋行)
2017年6月15日 更新
介護関係の仕事は、「人がいない」「忙しい」と言われながらも、入居者それぞれの想いに寄り添いながら、職員同士で話し合い、悩みながら少しずつ歩いてきました。
ある時、施設で「ノロウィルス」が流行し、感染を食い止めるために中・重度の認知症の入居者も居室で対応することになりました。といっても、認知症の方にずっとお部屋で過ごすことは大変な事だったと思います。自分で歩くことのできるAさんは、一日に何度も部屋から出てこられ、そのたびに職員が「すいません、部屋に行くので少し待っててもらってよろしいか」
職員は抑制しているのはいけないという罪悪感とこれ以上感染者を増やしてはいけないとの思いの葛藤でした。そんなある日、Aさんは扉を開け、「もう出てもよろしいか」と職員に尋ねてくれました。みんな重度でなかなか話も通じないと思っていたAさんの思わぬ問いかけに、Aさんにも一生懸命続けていけば通じるんだという思いが感動を呼び、その感動はすぐに他の職員に伝わり、事務所にまで伝わってきました。職員が固定配置され、なじみの関係を築き、みんなで情報共有できたからこその感動だと思います。
これからもケアの原点として、施設の運営理念「70人70様の暮らし大切に」を学んでいきたいと思います。