「皆の意識が変わったこと」(介護老人保健施設ふかわ・くにくさ 米浦幸介)
2020年2月3日 更新
平成16年に開設し、「1人ひとりに合ったケアがしたい」「ケアを統一していこう」そのように考えながら、情報共有ができていなかったり、職員本位のスケジュールになっている等ユニット型の施設でも、時間が決まった一斉のケアをしていました。
施設全体でユニットケアへの理解を深めようと勉強会を行ったことで、徐々に考え方が変わっていきました。今ではその人のことを知る、理解するという考え方ができるようになり、どんな意向やこだわりがあるのか、どんな風に暮らしたいのかを知ろうとするようになりました。何ができて、どんなケアをしてくのか、知り得た情報を24Hシートへ書き込み、根拠をもち1人ひとりのケアを考えることもできるようになり、個別ケアへ向かっています。
1つ変われば他のことも変わります。なじみの関係を作っていくことで、「どこも一緒」「生活感がない」と言われたユニットや居室は入居者、ご家族の協力もあり、それぞれの個性がみられるようになりました。1つ1つの課題をクリアし、ユニットが変わり成果が見えていくことで、職員自身がユニットケアについて前向きに考えていけるようになりました。
まだ課題も多い中、「できない」と言うだけで何も変えないのではなく、「ここまでならできる」と、今の自分達が入居者1人ひとりのことを考え、暮らしの継続に向けて可能性を探れるようになれたのはユニットケアに取り組んでいったからだと思います。
「ユニットケアを続けるということ」(特別養護老人ホーム白浜日置の郷 久森岳)
2020年1月6日 更新
施設がユニットリーダー実地研修施設となってもう8年になります。更新調査が3年に1度あり、職員や入居者の入れ替わりがある中で実地研修施設として質を維持していくことは本当に大変です。それでも私はユニットケアを続けることは大切であると考えます。
ユニットケアの実地研修施設で私たちは毎日仕事をしています。その生活に慣れしまっているのでユニットケアの良さに気付くことが少なくなっているのが現状です。しかし実地研修に来られたリーダーの方々や遠方から来られる入居者の家族によって改めてユニットケアの良さに気付くことがあります。「時間がゆっくりと流れている」「ユニットの中が穏やか」「入居者の顔が落ち着いている」「ここにいると落ち着く」など良い意見をいただきます。
私自身、ユニットケアの運営を続けて本当に良かったと思えることが最近ありました。
終末期の入居者が亡くなるという悲しい出来事があったのですが、その日私はその場におらず、職員から連絡をもらい施設に駆け付けました。ご家族と対面すると言葉なくしばらく二人とも大泣きした後、亡くなられた入居者の思い出を笑顔で話し合いました。
入居者やその家族と「喜び」「悲しみ」など共有できることがユニットケアの最大の魅力であると思います。後から聞いた話ですが、その亡くなられた入居者のご家族が外に出ていかれてユニットに戻ってきた時「ただいま」と言われてユニットに入ってこられたと聞きました。自分の「家」のように感じていただいていることが本当に嬉しく思いました。
ユニットケアは私たちに「介護という職種が誇りある職種であることを改めて気づかせてくれる」そう私は考えます。ユニットケアを続けることが入居者や家族の笑顔につながっていく。それこそがユニットケアの一番の魅力ではないでしょうか。
「その人を知るということ」(特別養護老人ホームフローラりんくる 金田篤志)
2019年12月2日 更新
ユニットケアの取り組みの一環として、入居者1人ひとりの意向確認をし、24Hシートの作成について本格的に取り組みを開始したころ、入居者の家族の方から「そんなに細かいところまで気を配るんですか」という言葉がありました。暮らしの継続を目指すとき、そこに24Hシートの作成でその人の詳細な情報を知ることは、必要不可欠だと感じます。
ユニットケアの魅力とは、入居者を中心とした考え方で、その人らしく暮らし続けられるようサポートできる仕組みとそのツールが充実していることにあると思います。その中でも24Hシートは施設全体で取り組むための準備に時間がかかりましたが、導入後のケアの質を大きく改善してくれていると感じています。それは、単に「聞いてくれる」という印象を与えたということではありません。入居者の暮らしの継続を念頭に置いたサポートをするという意識が高まり、入居者の生活が、その人に応じた個性豊かなものになってきたということです。
現在では、入居者1人ひとりが、それぞれの生活を送れるという満足感がさらに私たち職員の「ユニットケアを推進する気持ち」を強めてくれています。今も、まだまだ課題は多くありますが、暮らしの継続を目指し、更なるユニットケアの推進を図りたいと思います。