入職してから思うこと(特別養護老人ホームゆうらく 吹野 美奈)
2021年2月1日 更新
私がゆうらくに入職し14年。当時はユニットケアという言葉も解らず、「95名の方に1人でどのようにリハビリをしたらよいのか」という悩みからのスタートでした。
関節可動域訓練や立位訓練を実施していた時期もありましたが、どれだけやっても一人では無理で、拘縮が進んだり、身体機能が低下してしまう人が多い現状がありました。
その後試行錯誤して今、言えることは「一人の力では何もできず、24時間サポートしているユニットスタッフと協力することで身体機能の維持・向上に繋げることができる」ということです。24時間365日の生活の中で、移乗、座位姿勢、排泄、入浴、睡眠などは必ずあることで、介助の仕方によってはその方の身体の緊張を亢進させ、拘縮を作ったり、褥瘡や意欲の低下などの二次障害を引き起こしてしまう原因にとなってしまいます。だからこそ、障害部位に対するリハビリではなく、福祉用具を使ってその方に合った入浴・排泄・移乗などの介助方法や座位・臥位のポジショニングの提案や指導を主に行っています。それによる効果はあり、そういった成功体験がユニットスタッフのモチベーションにも繋がっていると感じています。また、それ以外の関わり方としては、特養は“終の棲家”であるため、最期を迎えるその時まで一緒に笑って穏やかに生活していただけるように、その方の想いや過去の経験に繋がるような楽しみのある活動が出来ればと思います。これからも入居者様一人ひとりの暮らしが豊かになり「ゆうらくでよかった」と思ってもらえるよう、ユニットスタッフ、各専門職とともに考え取り組んでいきます。
リーダーとして難しいと思っていること(特別養護老人ホーム清明庵 佐藤 敏恭)
2021年2月1日 更新
私が勤めるユニットに転倒を繰り返す入居者がいました。清明庵では、その都度、状況説明の連絡を家族に入れています。今回、その入居者のご家族でキーパーソン(窓口)となっていただいている方が、体調不良のため、弟さんに代わるというケースがありました。そこでの出来事をお話しします。
私たちは、それまで弟さんとはほとんど関わることはなく、弟さんは、入居者の認知力やADL、暮らしぶり等の現状を十分には把握されていないようでした。にもかかわらず、施設から今までと同じように事故の状況説明の連絡を入れたものですから、弟さんは、転倒を繰り返し報告してくることに、だんだんと不安感や不信感が募り、こちらに対し怒りだすこともありました。
そのことから、私たちは、転倒などの報告することもさることながら、まずは本人の状態を知ってただくことが必要だと気がつきました。そこで、弟さんに理解してもらうために、その都度、現状の説明・暮らし方・病気の説明等を説明しました。そうすることで、弟さんはだんだんと怒り出すこともなくなり、「いつもありがとうございます」と言っていただけるまでになりました。さらには、支援について協力的に考えていただくようにもなりました。
私達が知っている本人像と家族が知っている本人像を、ある程度一致させておかないとズレが生じます。ですが、本人と家族の距離感や関係性は、人それぞれです。それを理解し、それぞれの家族が、現状をどうとらえているのか知ったうえで、どう働きかけていくのかということが必要だと思いました。入居者への個別対応はもちろんですが、家族に対しても個別対応が不可欠だと学びました。
今できることを(特別養護老人ホーム清明庵 村上 翔)
2021年2月1日 更新
新型コロナウィルス感染症は、2020年1月に日本国内で初の感染者が出ましたが、1年前は、世界がこのような状況になるとは思ってもいませんでした。あの頃は、入居者と「東京オリンピック楽しみだね」「札幌にも来るんでしょ。見てみたいね」と楽しみな話ばかりしていました。しかし、あっという間に今まで当たり前だったことができなくなりました。雪が溶ける前には入居者との外出や家族の面会が禁止され、春には緊急事態宣言が発令され、桜を一緒に見ることもできなくなり、オリンピックも夏祭りも中止になりました。こんなに何もできない1年はなかったと思います。寂しい気持ちや何もできない悔しさもありましたが、日々の暮らしの中で何かできることはないか、今何をすることがいいのだろうかとスタッフと一緒に話をし、考えることが多くなりました。
その中でこんな時だからこそ毎日出来ることをしようとなりました。入居者の重度化も進み、会話が減っていた中で、意識的に入居者と多く会話をする機会を増やしていきました。新型コロナウィルス感染症によって今までユニットで行えていたイベントが行えなくなったことで、コミュニケーションを今までよりも大切にするようになり、入居者の家族に会えない寂しさや、家族を心配する気持ち、普段気づけないことに気づくことができました。
さらに、少しでも不安を減らし、安心してもらえればと家族から電話が来た時やこちらから家族に電話をした時には、短い時間でも話をしてもらうようにしました。家族の声を聞き、「あー良かった。元気そうな声が聴けた。」と泣いて喜ぶ入居者もいましたし、家族も入居者の声を聴けたことで「安心しました」と電話をする前よりもホッとした明るい声になっていました。
今後は今行っていることを継続していき、入居者との会話の気づきを日々の暮らしにつなげていきたいと思います。