「道の途中…」(特別養護老人ホームくわのみ荘 跡部尚子)
2016年12月1日 更新
10年前のくわのみ荘は、従来型特養から全ユニット型に建て替えはしたものの“なんちゃってユニットケア”を実施していました。すなわちユニットケア対応のハードの中で、長年培った一斉ケアをしていたのです。
そんな折、私が施設管理者研修、介護長がユニットリーダー研修を同時期に受講しました。
私は東京で、介護長は福岡で、雷に打たれたような衝撃を受けて帰って参りました。自分達がやっているケアがユニットケアとはかけ離れていることの認識、なんちゃってユニットケアから脱却するための課題と方策を目の当たりにして途方に暮れました。
しかし、「本物のユニットケアをやろう!」と私達を奮い立たせたのが、理念でした。ユニットケアを実現することで、理念がより具現化できると、新たな共通認識を持ち、そしてトライしていく過程で折れそうになった時、理念を拠り所として邁進した日々でした。
実地研修施設に認定されて10年が過ぎましたが、当時私達がゴールと設定した「本物のユニットケア」はスタートであり、「個別ケアを極める」という頂きを目指す道半ばであることを、実感する日々です。
『ユニットケアは施設を変える』(特別養護老人ホーム望星荘 松浦久)
2016年12月1日 更新
実地研修では、毎日振返りがあります。ある受講者が振返りの中で話をしてくれました。その方は元々長崎の出身で、他県の専門学校を卒業し、その地で就職されたとの事でした。同郷ということもあり、「ご自宅はどちらですか?」と入居者の方に尋ねたそうです。そうしたら、その入居者は車いすの向きを180度反転し、ご自分の部屋を指さしながら、「そこが、私の家です。」と言われたそうです。
「ここに来て本当に良かった。」素直に嬉しいと思える言葉です。心からホッとする瞬間であり、ユニットケアを実践してきたからこそ、これまでに幾度となく聞くことができた言葉に違いありません。
11月1日、開設十三周年を迎えました。私自身はその歴史の半分しか携わっていません。時折、職員から開設当初の様子を耳にすることがあります。今の落ち着いた雰囲気からはとても想像もできない内容です。ユニットケアと出会い、明らかに施設は変わったのです。“出来るはずない!”“出来るのかな?”“出来るかもね。”幾多の葛藤を繰り返しながら…。ユニットケアの実践に取り組み、突然の就任となった新前施設長を支えようと、必死に頑張り続けた職員たちに心から感謝しています。
如何なる変遷があろうと、ユニットケアが目指す方向は普遍の真理だと確信しています。これからも職員共々、真摯に取り組んでいく所存です。入居者や家族の笑顔に繋がることを信じて!
僕がユニットケアに取り組む理由〈わけ〉 (特別養護老人ホーム清明庵 山口匡彦)
2016年11月15日 更新
「自分の施設に入りたい度はどのくらいですか?」
「清明庵のアピールポイントはなんですか?」
ユニットケアリーダー研修の実地研修の中で施設長への質問の一例だ。座学の導入の過程の中で「自分の入りたい施設を作っている」という当法人理事長と私のわがままに共感してくれたとのことだ。
高齢者福祉に携わるようになって自分の死に際をよく考える。
父はがんで6人部屋という中で亡くなった。父には大変申し訳ないが、ベッドという唯一の自分の空間で排せつ後の臭いの残る中、食事を摂りながら亡くなって行く姿にいたたまれなくなった。
愛する家族に囲まれて、少しのわがままを聞いてもらって静かにこと切れるのが理想ではないか。せめて他人に死に際を悟られずに、ほんの少しのわがままを聞いてもらえれば、「いい人生だった」といえるのではないか。
清明庵のアピールポイントは?「職員」と言った。理由はわがままを聞いてくれそうだから。
自分の施設に入りたい度は?
興味のある方はぜひ私に直接聞いてほしい。