今できる「ふつう」のことを!(特別養護老人ホーム素心苑 小森理紗)
2021年12月1日 更新
「これからどのように入居者と関わっていけば・・・」と、コロナウィルス感染対策の通知を受けた時、壁に突き当たったことを忘れません。
喫茶店やサークル活動、買い物やドライブはもちろん、最も入居者へ生きる力を与えてくださる家族との交流が絶たれてしまいました。また、職員と入居者が「一緒に食べる」という「ふつう」のことが、「マスク着用とディスタンス」を余儀なくされることが「ふつう」となり、その関わり方に戸惑い悩みました。
このことをきっかけに全職員が「食べる」ことの大切さ、楽しみ方を改めて考える機会となりました。交流が困難だったらユニット単位で食べたいものを皆で作り食べること、外食のテイクアウトを活用すること等、今までにないことがかえってとても新鮮なものとなりました。
家族とはリモート面会や電話、写真や手紙の送付等をして入居者の様子を伝えています。これから先、どのような状況になろうとも、今できる「ふつう」のことを、今できる方法で行いたいと考えています。また、私自身「食べる」ことを通じて「暮らしを豊かにする」ひとりの人として、これからも関わりを大切にしていきたいと思います。
コロナ禍での看取りによせて(特別養護老人ホーム素心苑 三浦宮子)
2021年12月1日 更新
コロナ禍の中で、実母が令和3年1月初旬に某施設で静かに天国へ旅立ちました。母は常日頃からお世話になっている施設での最期を迎えたいと希望していましたが、私が母と最後に会ったのは昨年の春頃だったと思います。7月に帯状疱疹を患い食欲が低下してきて、雪が降る頃には、いよいよ食を受け付けないとの連絡を頂いて死期が近いことを感じました。コロナ感染対策で面会制限はどこの施設でも必至でした。マスコミや行政指導情報を敏感に受け止めながら、職員研修指導を行い、外部との接触は最小限に留めて、ハラハラドキドキの日々でした。母の葬儀は三密を避けて、県外の子供や孫たちは、直接のお別れが出来なくて心の中は悲しさや寂しさが溢れていたのではないでしょうか。
当苑でも、通常であれば家族の面会や宿泊など、入居者に合わせた看取りの対応を行ってきました。家族が持参してくださる入居者が好んで食べていたという食べ物や、懐かしい食材をゼリー状にしたり、とろみやミキサー食に変えたりと、わずかではありますが一口でも食べていただけるように工夫をしています。また、寂しくないようにと顔なじみの職員も何度も声をかけに訪れます。多職種とのカンファレンスを重ねながら、入居者が好きな音楽を流し、旅立つ数日前でも入浴やトイレでの排泄支援も行っています。
つい、この前旅立たれたAさんは、当日の夕食は大好きな名物馬肉の缶詰や煮卵を少し召し上がり、遠くに住む息子・娘・孫さんとリモート面会で手を振られて会話までされました。安心されたのかその日の夜に静かに95歳の天寿を全うされました。最期に父として祖父としての威厳を保たれたのではないでしょうか。私の母もお世話になった施設に感謝しながらの旅立ちだったと思います。形は違えども、それぞれの願いが叶えられて安らかな旅立ちができるように、ひとり一人の心に寄り添った支援や看護が出来ればと思っています。
スタッフへの関わり方や指導方法について(特別養護老人ホーム四條畷荘 長井有美子)
2021年11月2日 更新
四條畷荘に着任して、2年目に入り、半年が経過しました。
1年目に感じたことは、ユニット毎に設えにテーマやこだわりがあり、入居者様やご家族様の想いを職員が汲み取って作り上げてきた空間であることが伝わってきたことでした。作り上げてきた空間で働く職員は、やはり胸を張って設えのテーマを説明してくれるなどから、ユニットや入居者様のことを思っていると感じられることが多々ありました。
しかし、ユニット間で介護度が異なってくるので、スポットの時間に他のユニットへの協力体制が必要になっているのも現実です。
入居者様との顔なじみの関係を少しずつ築くために他のユニットへの応援は必要な流れだとも感じており、たくさんの職員に実践してほしいとも思っています。なぜなら、応援ユニットの設えのこだわりや、入居者様一人ひとりに対しての取り組み方を見ることで学びがあり、自ユニットへのお土産として持ち帰ることが出来るからです。
指導する側としても全体に反映させたい取り組みについては、写真を撮り、発信したり、ユニットリーダー会議で議題に取り上げるようにしています。
今後もユニット全体で入居者様に喜んでもらえる取り組みを共有しあって、職員間で認め合える関係性作りに努めていきたいと思っています。