介護の仕事20年目の心境(特別養護老人ホーム美里ヒルズ 中島 充啓)
2021年8月2日 更新
あなたがたった今から暮らさなければいけなくなったなら、いかにも施設らしい施設と、生活感がある落ちついた住まいのどちらなら良いと思いますか?
美里ヒルズに来てユニットケアを学んでいた2年目に、ショートステイユニットに配属されました。それぞれのご利用者がゆったりとすごせる環境を作ろうと、悩みながらも色々な取り組みを進めていた時、ご利用者とリビングで一緒に昼食をとっていると、周りのテーブルの方達と何度も視線がからみ居心地の悪さを感じました。その瞬間、リビングの機能性重視の設えが、ご利用者にとっては違和感しか生んでなかったんだと気付かされました。早速翌日から、とにかくまず自分自身が過ごしたくなるユニットに変えて行こうと、個々の空間を分けられるよう家具のレイアウトを一気に変え、他にもキッチンや玄関、トイレなどあらゆる設えを、古民家カフェ等を参考に遊び心も加えた生活感のあるものに変えて行きました。
今ではご利用者それぞれが周りを気にせず語らいを楽しまれたり、コーヒーを飲みながら本を読まれたりとほのぼのとした団欒の風景がみられるようになっています。難しく考えすぎず「私が使いたいサービス、暮らしたい施設」に変えて行く。それだけでご利用者の生活が大きく変わりました。まだまだご利用者や職員と共にやりたいことが沢山あって、約20年目にして初めて介護って可能性に溢れていて本当に面白いって心から感じています。
その人らしい暮らしとは(特別養護老人ホームちょうふ花園 山口 祐憂)
2021年7月1日 更新
「その人らしい暮らし」とは何か、日々考えます。
ある入居者様のお話です。ご自宅で畳やカーペット等に座り床で生活されていました。入居後、居室の中では靴を履かないことが多く、声掛けをしています。あるとき「無理に居室で靴を履かなくてもよい生活は出来ないか」とユニット内で話し合い、居室の設えを変更することになりました。ご家族様の協力を頂き、床にカーペットを敷き、低いテーブルと椅子を用意しました。初めは設えが変わることでの戸惑いはありましたが、すぐに慣れたご様子で今では椅子に座って漫画を読む生活が定着しています。表情や一日の暮らしぶりを見ていると、本当にご自宅で生活されているようにリラックスした様子で、「その人らしい暮らし」が見えた気がしました。
今後も「その人らしい暮らし」を実現できるよう、生活歴や意向、ご家族様からのお話し等、様々な角度から考えていきたいと思いました。
ユニットケアの魅力(特別養護老人ホームちょうふ花園 安藤 祐太)
2021年7月1日 更新
ユニットケアとの出会いは、学生としてちょうふ花園へ実習に行った時でした。当時はユニットケアという言葉はもちろん、ケアの方法も知らないことが多くありました。実習を通してユニットケアに触れてみると、一人ひとりの一日の時間の流れを尊重したケアであり、目まぐるし感じがなくゆったりとした雰囲気であったことが印象的でした。
施設では「個」を尊重し、その方の希望に寄り添うことを大切にしています。例えば食欲のない入居者様から「お寿司なら食べられそう」という言葉が聞かれ、その日に出前を取ると「おいしいわね」と完食され、食欲が戻るきっかけになりました。
入居者様一人ひとりの「意向」「希望」を確認し、それをすぐに形に出来たことで、もっと気持ちを汲み取っていきたいという思いも生まれてきました。個々の暮らしに合わせ、寄り添えるユニットケアの対応力は、他のケアの手法とは異なる魅力、介護職としての魅力があると思います。