将来を見据えて(特別養護老人ホームせんりょう万両)
2025年2月14日 更新
特別養護老人ホームせんりょう万両の松岡です。
せんりょう万両は、平成30年のオープン当初から「いつかは実地研修施設になる」ということを目標に掲げて、ユニットケアに取り組み続けてきました。
振り返ってみれば、そのころのせんりょう万両のユニットケアはまだまだ “ユニットケア”の形を意識しただけのものになっていたのかもしれません。当初から理念塾で理念を伝え続け、24シートを運用していましたが、どのユニットも設えは同じで変わり映えしない“施設”となっていたように思います。
令和5年に改めてセンターからの指導を受ける機会をいただき、施設全体でユニットケアについて学び直しました。
まずは見た目からということで、理念を具体化する形で、「入居者の暮らしの場に必要なものがユニットにあり、暮らしの場にふさわしくないもの(職員視点のもの)は出しっぱなしにしない設え」を徹底しました。小さな改善をコツコツと繰り返し、4つのスペース(プライベート・セミプライベート・セミパブリック・パブリック)を意識した設えが少しずつ変わっていきました。 その過程において、せんりょう万両が、どんどん“施設”でなく“住まい”らしく変化していく様子を実感できました。また、面会に来られるご家族や見学にこられる地域の方からも「家みたいですね」と最高の誉め言葉をいただくことも増えてきました。
まだまだ実地研修施設として駆け出したばかりのせんりょう万両ですが、これから受け入れるたくさんの研修生の皆さんと意見交換しながら、さらに成熟したせんりょう万両に成長していきたいと思います。
将来、せんりょう万両が地域で信頼される「住まい」として認識してもらえるようになると最高だと思いますし、この地域に「住まい」と思えるような高齢者施設がたくさん増えていくことを願ってやみません。
そんな将来を夢見て、これからもユニットケアやその推進に取り組んでいきたいと思います。せんりょう万両に実地研修に来ていただく皆さんとそんな将来の話ができることを楽しみにしています。
愛生会の「介護の価値」(特別養護老人ホームケアホームおおゆ「ユニット」)
2025年1月15日 更新
社会福祉法人愛生会は昭和61年保育所から始まりました。秋田県鹿角市大湯地域は温泉郷で国立公園の十和田湖や八幡平に囲まれシーズンによって賑わいが変化する町です。そんな大湯地域にも少子化の波はかなり早く訪れ、2020年度で2園あった保育所の内1園が閉園。2024年度末に、もう1園が閉園となります。そうなると小学校がなくなり住む人が減りと先が思いやられます。今でも職員は自然減少し、求人を出してもなかなか応募がない状況です。
そんな中、2022年職員から実地研修施設を目指したいとの声があがりました。法人としても職員からの一声は大きく、やるからには合格を目指そうと本格的に取り組みを始めました。当時ご指導いただいた講師からは「合格は難しいがやる気だけはあるな」と言っていただき、従来型が個室になったような造りの建物も講師からのアドバイスと法人の投資により変化し、更に職員の頑張りも加わりなんとか今日に至ります。
これを機に、入居者・ご家族だけでなく在宅サービスの利用者・求職者等からも選ばれる施設とならなければならないと理事長発案により、2024年度初めに愛生会の「介護の価値」を高める3大取り組み事項が発表され、その中にもちろんユニットケアの推進もありました。
そこで、ユニットケアの推進の目標を下記の3つに決めました。
①入居者の皆様にユニットケアの良さを実感していただき、それをご家族と共有することで、地域にケアホームのユニットケアを宣伝する。
②実習生に1つでも参考になったと言っていただけるよう努力する。
③法人内の他の事業所にも良い影響を与える。
そしてこれらすべての取り組みをバックアップしてくれているのがSNS広報担当で、働く仲間を増やすべく日々SNSに投稿してくれています。
ユニットケアの取り組みを始めて職員に笑顔が増えました。理念にある「入居者を笑顔にするためにまずは自分たちが笑顔に」が実践でき、確実に「介護の価値」を高められていると感じております。引き続きユニットケアを推進して参ります。
私の介護観(特別養護老人ホーム ミネルヴァあべの 濵原 賢次)
2024年12月13日 更新
『ミネルヴァあべの』は大阪市南部の阿倍野区にあります。大阪といえば賑やかな下町風の街並みを想像される方も多いかと思いますが、当ホームのある場所は一歩路地に入ると閑静な住宅地が広がっており、利便性の高さから大阪市内のベッドタウンにあたるエリアにございます。
今回、初めてのブログ執筆ということで、何を書こうか非常に迷いました。これまでの当ホームでのユニットケアの歩みについてもたくさん書きたいことがありますが、当ホームにつきましては、実地研修施設のページをご参照いただくとして、ここではあえて私の介護観についてお話させていただきたいと思います。
実は私事ですが、1か月程前に体調を崩し入院した時の話です。めまいがひどく、点滴も効果なく寝返りも打てない状態で一晩過ごすことになりました。病室には時計はありましたが、動けないためそれを見ることもできません。日々動いている時の1日はあっという間に過ぎていくのに、暗闇の中にて自分で動けない時の一晩はとてつもなく長く感じました。
しばらくして尿意を催しましたが、横に置いてあるはずのナースコールも取れず看護師が来るのを待つしかありませんでした。その後来ていただいた際もトイレに行くことが出来なかったため、介護士の方に尿器を使って介助してもらうことになりました。しかしなかなかうまく出すことが出来ません。その介護士の方が私を安心させるような言葉がけをしてくださり、最終的に出すことが出来ましたが、症状が落ち着いてきた際にその時のことを振り返ると、ミネルヴァの入居者の方の気持ちが少しわかるような気がしました。
自分一人でしたいことが出来ない時は誰かに助けてもらう必要があります。介護の場面では排泄や食事、着替えもそうです。今回、私は排泄も着替えも一人で出来ず介助を受ける側になりました。その時の気持ちとしては、恥ずかしさもありましたが、それ以上に他の方の介助で忙しいのに手を煩わせて申し訳ないという気持ちをより強く感じました。そのように考えると、入居者の方もお願いしたくても遠慮していることもあるかもしれない、トイレで排泄する力があるのに気持ちを我慢してオムツでやむなく排泄されている方もいるかもしれない。そんな気持ちを職員は理解し、自分の力でやりたいこと・出来ることに寄り添うこと、そしてプライバシーの配慮についての大切さも当事者として学ぶこととなりました。
入居者の想いを日々の関わりの中から想像し、自らのものとして感じる力が職員には必要です。ユニットケアに携わる職員の皆様、日々本当に大変な仕事であるとともに、かけがえのない仕事をされています。そのようなことを伝えていくのも施設長の責務であると感じました。