ユニットケアの先に見えてきたもの~18年間を振り返り~(特別養護老人ホームゆうらく 山野 良夫)

2021年2月1日 更新施設長

特養「ゆうらく」でユニットケアに取り組んで、早いもので18年が経過しようとしています。ユニットケアが目指すところは、個々の「暮らしの継続」であり、個別ケアの提供と暮らしの場創りに邁進してきました(?)が、その先に「地域福祉」という一筋の光が見えてきました。時同じく、社会福祉法人改革という大きな波が押し寄せ、地域における社会福祉法人の役割や地域貢献の在り方が問われることとなりました。特に、地方の中山間地域の社会福祉法人においては、その役割の再確認と法人の生き残りを賭けた活動が強く求められています。その中で、行政・法人・地域住民等が連携し、「共生社会」の実現を目指し協働することにより、一億層活躍社会の実現と困難性が増大する「町づくり」に向けた新規事業活動に取り組むこととしました。具体的には、地域共生社会実現拠点施設「いくらの郷」の整備・運営への取り組みです。「いくらの郷」は、大きな社会問題化している「ニート・引きこもり者」の社会復帰に向けた支援と、併せて疲弊している中山間地域の活性化を目指した各事業の連動・連携を推進し、相乗的効果を期待するものです。「農福連携」を模索した事業展開を目指しています。これは縦割り型の事業展開ではなく、地域や住民サイドに立った他施策との連携・相乗効果を期待した「混在型事業」展開を図り、潜在化している地域の社会的課題の改善を目指した「横串」の事業展開を推進しています。「いくらの郷」のもう一つの大きな特徴は、これまであまり交流の無かった社会福祉法人連携(町社会福祉協議会・障がい者法人・伯耆の国)により、一つの事業推進を、夫々の法人が役割を確認・実行し、協働することです。この法人間連携は、夫々のノウハウの発揮と、法人機能・役割の再確認と共に、町づくりへの積極的参画を促すこととなりました。

このようにユニットケアは、施設におけるケアの手法としてのみではなく、施設を含めた「地域」を再認識させるという、とんでもない「機能」を持った思想であると確信することができました。

コロナ禍のおける取り組みについて(特別養護老人ホーム白駒の森 澤田キヌ子)

2020年11月4日 更新施設長

皆様お元気ですか ご面会はどのようにしておられますか

今年2月、新型コロナウイルス感染症が世界中で広がり始めました。高齢者に感染すると重度化するということから、面会を制限しておりました。一時は小康状態と判断し、感染予防を徹底して1階の指定場所で面会を再開しましたが、第2波が押し寄せ、近隣で発生したこともあり、現在はガラス越しでの面会や電話でのお話しとさせていただいております。

白駒の森は、平均介護度4.4、平均年齢92歳(98歳~104歳17%、65歳~79歳17%・全員脳梗塞)、認知症で加算をいただいていることもあり、90%がⅢ以上です。ズームによる面会も検討しましたが差し入れなど”物”を持ってきていただくこともあり、現在の面会方法を維持しています。

そんな中、入居されている方に急変は絶対あってはならないということから、体調の変化に気づく体制に力を入れてきました。接遇委員会の今月の目標は“利用者様の体調の変化を見逃さないように気配りしましょう”でした。

今までは“私達はご家族からあずかっているのではなくご家族のできないことだけ支援させていただきます”という姿勢でやってきましたが、今はまさに大切なご家族を“お預かりしている”という形になってしまいました。3月からは、毎月お一人おひとりの日常の写真数枚を入れた現況報告と検査データなどをお手紙にしてご家族にお知らせしてきました。

こまめなケアが功を奏し(コロナのおかげで(ご家族の面会がないので)入居者様への思いも深くなり体調の変化を見逃さない努力をしていた?)、2月3月に看取りと言われてきた方が今もお元気でおられ、感動しております。このうえは、看取るぎりぎりにはお逢いして戴こうと考えておりますが、ご家族にユニットに入っていただく時には、防護服を着てもらわなければいけないのかしら?などと悩んでいます。

「介護は哲学、活きる支援」ですね。

ユニットケアの魅力(介護老人福祉施設花友にしこうじ 濱口 洋行)

2020年7月1日 更新施設長

そこに暮らしているのは入居者自身です。私たち職員はその「暮らしの継続」を実現するためのアシスタントに過ぎないと思います。

しかし、私たちがアシスタントに徹することで見えてくる入居者の変化は私たちに勇気と希望を与えてくれるに十分であり、ケアの重要性を改めて感じさせてくれます。ユニットケアの視点は入居者一人ひとりの一日24時間の暮らしであり、職員が入居者の想いに寄り添いながらケアをしています。一人ひとりの暮らしぶりが違うのはもちろん、同じ人であっても様々な精神状態等の変化があり、毎日全く同じ暮らしをしているとはかぎりません。

このような入居者の日々変わる状態に寄り添ったケアをするために柔軟な対応をしていくのが私たちの役割であると考えています。その実践に取り組み、エビデンスを積んでいるのがユニットケアの実施施設です。また、職員を固定配置することでユニットミーティングでの意見交換も活発になり、本当に一人ひとりの身体・精神の様態を同じ言葉で共有することができます。それが入居者の明日の笑顔につながっていることを職員みんなで実感でき、新たな展開も含めて統一したケアの実践が可能な体制であると信じています。作り上げるのには相当の時間と労力がかかりますが、皆さんの施設でもぜひユニットケアに継続的に取り組んでほしいと願っています。

 

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