ユニットケア推進について(特別養護老人ホームゆーとりあ 松江 炎)
2023年10月2日 更新
特別養護老人ホームゆーとりあは大阪府堺市中区にあります。平成27年4月に新設し、当初から実地研修施設になることを目標にしてきました。
ユニットケアを推進していくには理念を共有し、全職員が同じ思いでそれぞれの役割を果たしていくことが大切ですが、長い年月の間には職員の入れ替わりもあり、理念を常に発信し続けることの重要性をこれまでに痛感してきました。今年は阪神タイガースがリーグ優勝を果たし、関西はとても盛り上がっていますが、岡田監督が発した「アレ」というキーワードを常に掲げ続け、チーム内だけでなくファンや一般市民を巻き込んで、ひとつの目標に向かっていったことは、チームワークという観点において、ユニットケア推進における理念の浸透に通じる部分があると思いました。加えて「具体的でわかりやすい方針の実践」、「各選手がチーム内での自分自身の役割やできることを理解、実行したこと」等が「アレ=優勝」につながったのではないかと思いました。
このたびゆーとりあは実地研修施設となり、9月から研修生の受け入れをさせていただいています。実地研修施設となるまでに、開設当初の目標よりも年月がかかりました。その間、新型コロナウイルス感染症の流行もありましたが、業務改善・生産性向上を図るため、新たな記録デバイスの導入、介護マニュアルの見直し、介護報酬改定に対応するための情報共有システム活用等、ユニットケアを推進するための基盤作りを行ってきました。また、コロナ禍で人や社会とのつながりが断たれ、ご入居者とご家族が自由に会うことができなくなり、ソーシャルディスタンスやマスク越しのコミュニケーションを経験したことで、全職員が「関わりの大切さ」を感じ、ユニットケアをさらに推進する原動力になったのではと思っています。
初回の研修生受け入れの際に、ユニットリーダーや職員が気負うことなくいつも通りのケアを行い、自分たちが行っているケアについて根拠を丁寧にご説明し、挨拶や言葉がけをすすんで行っている様子等を見ていると、ゆーとりあはこれからも皆で成長していける、と感じました。まだまだ改善しないといけないことはありますが、皆で理念を共有し、実現に向けて地道に取り組んでいきます。
6人部屋からユニット型個室へ(特別養護老人ホームエリザベート成城 施設長 俵木 伸子)
2023年9月1日 更新
少し前のことになりますが、私が大学の社会福祉学科を卒業して特別養護老人ホームに就職した時、敷地内にあったもう一つの特別養護老人ホームは6人部屋でした。そちらの施設でも、私が勤務していた4人部屋の施設でも、入居の際、『荷物は段ボール箱2箱分くらいにして下さい』とお願いしていました。その当時、東京都内に全室個室の特別養護老人ホームがありましたが、救貧的な色合いが強い時代にあって、全室個室を実現させるには、並々ならぬご努力があったとお聞きしました。
そして今・・・。
社会福祉法人緑風会 特別養護老人ホーム エリザベート成城は、ユニットリーダー研修の実地研修施設となりました。この間の制度・高齢者の状態像・社会のニーズなどの変遷には驚くばかりですが、着実に入居者やご家族に安心してご利用いただける環境になっていると思います。
エリザベート成城では、2014年の開設以来、ユニットケアに取り組んでまいりましたが、従来型施設でのケアからの脱却は容易なことではありませんでした。ハード面だけの「なんちゃってユニットケア」で良しとしそうになった時期もありました。それを克服するために、実地研修施設を目指しての取組を始めました。良質なケアを恒常的に提供するためには、外部からの評価が欠かせないと考えます。その評価とは、これまでは推進センターの委員の皆様が主でしたが、これからは実習にいらっしゃるお一人お一人になります。それらの評価をいただきながら、ユニットケアの充実のために邁進していきたいと思います。
入居者・職員を変えたユニットケア(特別養護老人ホームつるべ荘 施設長 島野 桂太郎)
2023年9月1日 更新
特別養護老人ホームつるべ荘は石川県白山市にあります。つるべ荘は金沢市と近接した場所に位置しており、金沢駅から車で20分程度で来ることができます。
平成16年10月開設で、比較的早い時期から全館個室のユニットケアをやってきましたが、今年度石川県初のユニットリーダー実地研修施設の指定をいただくことができました。
私たちは、つるべ荘に入居した方が「ここに入れてよかった。」と思っていただける施設にするために、本当のユニットケアしてみようと、平成29年に実地研修施設を目指す決心をしました。
これまで15年近くやってきたことに、どこから手を付けて、どう変えていけばいいのか本当に悩みました。様々な取り組みを積み重ねては崩しの連続でしたが、日本ユニットケア推進センターの指導やほかの実地研修施設からのお知恵や事例を拝借し、小さなことから成功体験を職員で共有することで、ユニットケアのやりがい、おもしろさを感じるようになりました。そして何よりつるべ荘を職員が好きになってくれました。
この成功体験で大きいのは、入居者が介護を受ける人から、自立した暮らしをするひとりの人に変わっていったこと、そしてユニットと施設全体の空気が変わったことだと考えています。
つるべ荘の理念は
「みんなの幸せ みんなでつくる つるべ荘 ~感謝 やさしさ あたたかさを大切に~」
です。この理念は『自分たちの仕事とは、施設とは何か』職員で話し合って制定しました。
入居者の本人らしい暮らしを支える中で職員が入居者に支えてもらうこともしばしばです。暮らしの場で職員と入居者の2項関係になっていたユニットに入居者同士の相互関係も生まれました。このようにユニットケアで入居者の暮らしが実現しただけでなく、職員もたくさんの成長をすることができました。制定した理念が1つ実現できました。
これからも、皆さんから愛される施設になれるようこれからも精進してまいります。