初心忘れるべからず(特別養護老人ホーム天神荘 橋本 清志)
2022年2月2日 更新
前職は介護とは全く縁のない職業でしたが、15年前にこの世界に飛び込みました。最初は老健で、集団ケアが当たり前でした。その中で、「介護とはこういうもの」と思いつつも、施設が決めた日課に沿っての生活を利用者に強いることに違和感を覚えました。利用者の中にも施設の生活に馴染めない方がおられ、そういった方は困難ケースとして、職員からは敬遠されがちでした。私も初めは敬遠していましたが、自分の勝手な判断で、その方のペースに合わせて対応するようにしてみたところ、いつも機嫌が悪かった方がとても穏やかになりました。同僚からは「何故あなたが対応すると上手くいくの?」と尋ねられるようになりましたので、「その方のペースに合わせているだけ」と答えていました。天神荘に移動してきた時は丁度、ユニットケア導入に向けて、施設一丸となって取り組んでいるところでした。その中で、かつて困難ケースとして対応されていた方が、何名か入居されており、とても自由に、笑顔で生活されている様子を見て、驚くとともに、多職種が自由に意見を出し合い、入居者一人一人の生活リズムに沿ったケアの提供を実現させようとしていたことに、とても感動したことを覚えています。今はケアマネとして、ご本人の希望とご家族の思いを踏まえ、多職種からの意見や提案をケアプランとして、取りまとめています。今後はケアマネとしての立場から、ユニットケアとはどういうものなのか、何が良いのかを、最初に自分が受けた感動を踏まえ、広く発信できていければと思っています。
「食べること=生きること」(特別養護老人ホームメープル 佐々木 美奈子)
2022年2月2日 更新
コロナ禍となり2年が過ぎようとしている。面会制限、外出が出来なくなり入居者の方々の楽しみが一つ一つ出来なくなっていくことに心苦しさを感じる毎日だ。その中で唯一楽しみにされているのが毎日の食事。施設内を回っていると「今日の昼は豚丼だ。早くユニットに戻って準備せねば」とか、「腹減った、早く持ってこないかな~」と言いつつ散歩をしている入居者を見かける。そんな普段の会話の中から入居者の一人ひとりの食べたいもの、想いを感じつつ業務に生かせるよう心掛けている。
また、ユニットでは入居者の希望が叶えられるよう日曜日の夕食はユニット毎に献立を考え調理し、一緒に食卓を囲んでいる風景を見かける。忙しい毎日のなか職員のユニット内でのおやつ作り、夕食作りと食事に対する入居者の希望に寄り添う姿にいつも感心している。
私一人の力ではすべて補うことはできない。全職員の協力があってこそ「食べること=生きること」への喜び、力が湧いてくるのだと思う。
いつかは自分もたどる道だ。入居者の一人一人の想いに寄り添えるよう精進していきたいと思う。
ユニットケアに出会って(特別養護老人ホームメープル 髙坂 哲子)
2022年2月2日 更新
私は介護とは別の医療系の仕事をしていましたが、介護の職に就きたいと思ったのは、お世話することが好きだったこと。祖父母が大好きだったこと。出来ないことを手伝うと「ありがとう」と言ってもらえたことがとても嬉しかったからです。
以前は老健で勤務していましたが、結婚を機に自宅から比較的近い施設で勤務しています。介護職として8年目でユニットリーダーを任され、現在もユニットリーダーとして、そして今年度から実地研修受け入れ担当としても奮闘しています。
当施設は従来型の特養でしたが、ユニットリーダー研修の実習施設で、実際にユニットケアをしている姿を見て、職員にバタバタ感がなくゆったりと支援していること、入居者の生きがいを見いだし尊厳に配慮していること、統一したケアができていることに驚きと感動を覚えました。実践してみて大事なことは、ただ言われたことや感じたことをそのままやるのではなく、根拠を持ってやることの大切さを知りました。
紆余曲折はありましたが、10年かかって当施設でもユニットケアを学ぶ実習生を受け入れる施設となり、ユニットケアをする前と比べ職員のモチベーションが上がり、統一したケアができるようになりました。また、実習生と共に一緒に学び共感し、多くの仲間が増えたことがなによりです。
福祉関係に限らずコロナ禍で制限されることが多い中でも、日々何かしら進化していると思っています。今後も多方面からの情報を収集しながら、今までと変わらない暮らしが続けられるよう、新たな取り組みも考えながら支援していきたいと思います。さらに、より多くの仲間が増えるよう発信していきたいと思います。